逆境の東城りお たとえ今日のトップは掴めなくとも ――私は明日を諦めない【Mリーグ2023-24観戦記 11/9】担当記者 #後藤哲冶

が、無慈悲にも次局、ラス目の優が4000オールをツモアガる。
これで東城はラスに沈んでしまった。

東城だって指を咥えて見ていたわけではない。
【白】を仕掛けてホンイツのアガリを目指していたが、優に押し切られた。
アガリが遠い。苦しい時間があまりにも長い。

南2局2本場

東城の表情が苦悶に歪む。

黒沢と優の2件リーチに囲まれた。
もちろんアガリを見て手を進めていた東城には、2人に共通する安全牌がない。

仕方なく選んだのは、優が少し前に切っている【6マン】のスジで、東城目線3枚見えていてシャンポン待ちが無い、【3マン】

「ロン」

戦闘民族の牙が、容赦なく東城を切り裂いた。
優は、イーシャンテンの段階で、このペン【3マン】の最終形を見据え、【6マン】【7マン】【8マン】【9マン】の形から【6マン】を河に放ったのだった。
まさに、技ありの一打。

7700の失点。これで、優がトップ目に立ち、東城以外の3人がトップ争い。
東城はただ一人、ラス目に取り残されてしまった。

南3局

東城に、ドラドラで形もまとまった勝負手が入った。
タンヤオでまとまれば、跳満クラスまで見える手牌。ツモれば、着順上昇が僅かに見えてくる。

【4マン】を引いて、【1ソウ】切り。タンヤオが確定。
あとは、リーチと言うだけ。

が、先に親の太からの先制リーチを受けてしまう。
【3ソウ】は、太に通っていない牌。一発で打てば、12000だってあり得る牌だ。

それでも、迷わずに東城は【3ソウ】を打ちぬいた。
次の局で、勝負手が入ってくれる保証は無い。
もうここでこの勝負手を逃せば、着順上昇は厳しい。

東城は覚悟の決まった表情をしていた。
【1ピン】も、迷いなく打ち出していく。
もう退路はない。この手を、アガるまでは。

持ってきた【8ピン】
これだって、止まることはない。
フェニックスサポーターのためにも、なんとかアガリに――

「ロン」

無情にかかったその声は。
東城の、今日のラスを確定させる発声だった。

トップには、オーラスもしっかりと押し切ってアガリを手にした、優。

カン【7マン】を固定した【6マン】切りや、最終形ペン【3マン】を見据えた【6マン】切り。
随所に、戦闘民族たる所以を見せてくれた素晴らしい内容だった。
戦える態勢を整えるからこその、戦闘民族。
らしいスタッツで、パイレーツのデイリーダブルに見事貢献。

返って、苦しいラスとなったのが、東城だった。
これでフェニックスの負債は400オーバー。
レギュラーシーズン突破の6位まで400ptを超えてしまうのは、まだ序盤とはいえ苦しいと言わざるを得ない。

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