世界一理不尽なゲームに
人生を賭けた者、
白鳥翔に訪れた微差の選択
文・江崎しんのすけ【月曜担当ライター】2024年1月15日
第2試合
東家:白鳥翔(渋谷ABEMAS)
南家:瑞原明奈(U-NEXT Pirates)
西家:魚谷侑未(セガサミーフェニックス)
北家:勝又健志(EX風林火山)
南1局16巡目。
親番の白鳥は選択を迫られていた。
残りツモ2回となった終盤。
タンヤオ・赤2の5,800点のテンパイを入れている。
待ちは・のシャンポン。
引いたのは。
2巡前、ほんの少し前まで白鳥はカンでのテンパイだった。
待ちを変えた直後に引いてくる前のアガリ牌。
なんとも間が悪い。
今シーズン不調に苦しんでいる白鳥は、この試合も牌のめぐり合わせに翻弄されていた。
一番印象に残っているのは東4局2本場だろう。
放銃は無いがアガリもなく、ジリジリと点数が減っていた白鳥にチャンス手が入る。リーチ平和ドラ3の待ち。高目のだと出アガリでも跳満スタートだ。
このがリーチ時にはなんと山に7枚残っていた。
直後1枚が他家に流れたが、それでも7巡目リーチで山に6枚残りは十分すぎる。
ツモれば倍満まで狙える手だけに、試合の勝敗を決めるアガリが出るかと思われた。
しかし…
この6枚生きているが全く顔を出さない。
それどころか、通りそうな牌を切って粘っていた瑞原から13巡目に単騎待ちの七対子で追いかけリーチが入る。
直後、白鳥が引いたのはまさかの。
リーチ一発七対子6,400は7,000点の放銃となった。
白鳥がリーチをかけたのは7巡目で、放銃したのは14巡目。
つまり28枚の牌を4人でツモったことになる。
そして放銃したときの山は残り16枚で、ワン牌を含めると30枚。
白鳥のアガリ牌は、めくられた28枚の中には1枚もなく、残り30枚の中に6枚全てが眠っていたのだ。
そして2枚生きていた北(この巡目の2枚生きも充分強いが)は、僅か1巡で掴み放銃。
麻雀は有利な方がそのまま勝利できるとは限らないゲームで、今回のようなめくり合いが、麻雀をより面白いゲームにしている側面もある。
もちろん分かっている、分かっているが__
この放銃は「辛い」以外に形容する言葉が見つからない。
この放銃によって白鳥はラス目となり、冒頭の南1局親番を迎える。
トップを取るためには是が非でも加点したい。
安全そうな字牌を切り飛ばし、目一杯に構える。
11巡目、勝又が切った3枚目のをチーしてイーシャンテンに取る。
面前で仕上げれば跳満まで狙えそうだが、巡目とが薄くなってきたことを考えると仕方ない。
直後、3着目の瑞原からリーチがかかる。
実は2巡前からカンでのテンパイを入れダマテンにしていた瑞原だが、を引き待ちをに変えてリーチ。
そのまた直後、白鳥にもテンパイが入る。
瑞原のアガリ牌を一枚吸収したカン待ち。