セレブ #黒沢咲 は高い手をアガりたい! ~剛腕達の麻雀乱打戦~【Mリーグ2023-24観戦記 2/15】担当記者 #後藤哲冶

それでも、黒沢は【2ソウ】を切った。
【3ソウ】【7ソウ】【4ピン】【7ピン】のイーシャンテンで勝負。

次に、【8ソウ】を引いてきてもう一度選択だ。
【8ソウ】はリーチに対してスジの牌で、仲林は序盤に【9ソウ】を切っているのでカン【8ソウ】やシャンポンも比較的通しやすい。
ここは【2ソウ】切りの時と同じで、【8ソウ】を打つのかと思われたが。

ここで黒沢は、【4マン】をぶっぱなした。
まず、4枚目の【2マン】が見えたことが大きい。【1マン】【4マン】の可能性が消え、【4マン】【7マン】の1スジになった。
次に、【6ソウ】【9ソウ】はフリテンだが、【9ソウ】が4枚見えていて、引くとしたら【6ソウ】だ。
【9ソウ】は引いてもタンヤオが崩れ、手牌価値が下がるが、【6ソウ】ならばリーチタンヤオ赤の最低5200の打点が担保される。
ツモれば満貫からだ。

見事次巡【3ソウ】をツモってリーチ宣言。
【8ソウ】から切っていても結果は同じだが、麻雀は過程が大事なゲーム。
この一巡で持ってきたのが【6ソウ】だったら、テンパイを逃しているのだから。
とにかく高い手は逃さない。黒沢の意志が見えた【8ソウ】残し。
リーチ対決だ。

黒沢の待ち【4ピン】【7ピン】も山には残っていたが、このリーチ対決は、仲林に軍配。
仲林がトップのまま、第2試合はオーラスを迎える。

オーラス、黒沢の条件は700、1300以上のツモか、出アガリなら3900から。
配牌はあまり良くないものの、真っすぐに手を進めていく。

【赤5ピン】を引いて、条件に向けて前進。
アガリまでは遠いものの、リーチしてツモれば、クリアだ。

10巡目、ラス目の高宮からリーチがかかる。
高宮は満貫ツモこそラス目のままだが、跳満ツモはなんとトップまで駆け上がることができる。
南をツモって、裏を乗せれば、トップだ。

そしてこのリーチ棒が出たことで、黒沢の条件が緩和された。
500、1000のツモアガリと、出アガリ2600が、OKになったのだ。
とはいえ、事はそう簡単ではない。この高宮のリーチに放銃すると、2着から4着に落ちてしまうリスクが伴う。

冷静に場を見渡す黒沢。
最終盤の緊張感が、場を支配している。

ひとまず、現物の【8ピン】打ち。【8ピン】【4ピン】と通っている牌を切りながら、【5ソウ】にくっつけてのテンパイを狙った。

高宮から【6ピン】が出るが、スルー。
タンヤオ赤1の2000点は、他からの出アガリだとトップには至らない。
ツモか直撃条件のチーで、通っていない【5ソウ】【8ソウ】を切る価値はないと判断。

次に出た【7ソウ】もスルー。【5ソウ】【8ソウ】は出て行かないが、カン【6ソウ】では勝負にならない。
前巡に持ってきた【3マン】も、高宮には通っていない。

そうして引き入れた、【8ソウ】
メンゼンで仕上げたおかげで、出アガリでトップの2600条件を満たした。
【3マン】を切り飛ばす。これで、アガればトップのテンパイ。

待ちは、自分で5枚使っている【5ソウ】【8ソウ】と苦しいが――

それをアガれたりするのも、また麻雀で。
満貫が飛び交う乱打戦を締めくくったのは、セレブ黒沢咲が我慢して仕上げた、2600だった。

見事薄氷のトップを持ち帰った、黒沢咲
バレンタインデーの翌日ということもあって、雷電ユニバースにとってこのトップは、黒沢からの一日遅れのバレンタインプレゼントとなっただろう。
これで雷電は第1試合4着となった本田のポイントを取り返し、6位を死守。
黒沢個人としても、嬉しい復調の兆しだ。

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