ゼウスの読み
攻めっ気たっぷりな
鈴木たろうが
リーチをしなかった訳
文・江崎しんのすけ【月曜担当ライター】2024年4月8日
第2試合
東家:松本吉弘(渋谷ABEMAS)
南家:仲林圭(U-NEXT Pirates)
西家:鈴木たろう(赤坂ドリブンズ)
北家:渋川難波(KADOKAWAサクラナイツ)
Mリーグ2023セミファイナル2戦目は、渋谷ABEMAS松本の大連荘から始まった。
東1局にはダブ・ドラ4赤1の6,000オールを決め、3本場になる頃には持ち点は6万点を超えていた。
3回のアガリを決めた後も、松本の勢いは止まることを知らない。
ドラは。
11巡目にタンヤオ・ドラ3のテンパイを入れる。
まだ東1局だが、アガればトップが決まると言っていいだろう。
その3巡後、たろうがテンパイを入れる。
待ちの平和赤1。
点数差を考えればリーチをかけ高打点を狙いたいところだ。
テンパイを取るためには、松本に通っていないを切らなければいけない。
ただ、このはかなり通りそうな牌に見える。
たろうの目からが4枚見えているため待ちはなく、松本が最後に手出ししたの後に仲林がを切っているため、待ちも無い。
たろうはMリーガーの中でも攻めっ気が強く、時には大胆な選択を見せる。
当然のリーチかと思われたが…
なんとリーチどころか、テンパイを取らない今通った切りを選択した。
この日、赤坂ドリブンズの公式Youtubeチャンネルでは楽屋配信が行われていた。
赤坂ドリブンズ Mリーグ2023-24セミファイナル チーム第1・2戦 クラブハウスLIVE中継
楽屋で応援していたチームメンバーは、たろうはリーチをかけると予測していたようで、テンパイ取らずの選択に驚きの声を上げていた。
が通ったのは、松本がを手出しした直後だったため、もしかするとが切られた後にが手出しされたと勘違いしているのではないか? という話も出ていた。
たろうがテンパイを取らなかった3巡後、松本からがツモ切られる。
もしたろうがを切ってリーチをかけていたとしても、大量のリードがありリャンメン待ちの親の満貫をテンパイしている松本は恐らくオリることはなかっただろう。つまりリーチをかけていればたろうがアガっていた可能性が非常に高い。
この試合、トップを獲得したのはリードを守り抜いた松本。
1試合目の日向のトップと合わせると、1日で120pt以上をプラスしたことになり、チームは一気に6位から4位に浮上する。
対して4着となったのはたろうだった。
アガリ回数が少なく、全体的に苦しい展開だったことは間違いないが、やはり東1局3本場のテンパイ取らずの理由が気になるところ。
インタビュアーから理由を聞かれ、こう答えていた。
「が4枚見えてたんですよね。ただチーからの切りで、が関連牌だとするとが雀頭のテンパイに見えてて、カン待ちからの・シャンポンの待ち換えを想像してて…」
たろうから見た捨て牌をもう一度見てみよう。
たろうは松本の手を・のシャンポン待ちと読んだ分けだが、その根拠を説明するにはもう少し前から説明する必要がある。
遡ること8巡、
松本はを対子で落とし、
直後、上家の渋川から切られた1枚目のをリャンメンでチーする。チーして切られたのは。