最後の一打に込めた想い【Mリーグ2024-25観戦記 9/27】担当記者 小林正和 岡田紗佳 vs 二階堂瑠美 vs 仲林圭 vs 多井隆晴

奇しくも本日は自民党総裁選挙が開かれ、日本の新しい顔が誕生。それに続くようにとチーム初勝利を掴み取り、再び王者復活の狼煙を上げる事ができるだろうか。

序盤の展開を占う運命の一戦が繰り広げられた。

第1試合

東家:岡田紗佳KADOKAWAサクラナイツ
南家:二階堂瑠美EX風林火山
西家:仲林圭U-NEXT Pirates
北家:多井隆晴渋谷ABEMAS

全36選手の中で、一番遅い出場となった仲林圭がいきなり持ち味を見せる。

東1局

ピンズのペンチャン・ターツ払いから5巡目に【2ソウ】を引き込んで来た場面。

まだ一段目である点と、トイツ手の可能性も考慮して手拍子で【9ピン】に手を掛けたくなる所を

【6ソウ】を河に置いた。

詳しく見ていこう。

まずは【2ソウ】という横の繋がりをもたらす牌によってメンツ手のターツブロック4つが十分形へ。それも最高形はタンピン三色まで見える価値ある手牌へとパワーアップしている。

しかし完成メンツが未だ無く、僅かながら愚形箇所も残るなど不安要素も拭いきれない。

そこでスピード感で劣っていると判断した仲林は、この後の反撃に備えて三者に安全な【中】と親の現物【9ピン】を手の内にキープした。

この瞬間のロスは暗刻になる残り2枚の【6ソウ】だけであり、守備と押し返す為の攻撃のバランスの取れた一打である。

また、親の早めに切られている【9ソウ】【6ソウ】所持率が高く、判断材料の一つになったのかもしれない。

更に面白いのが、次巡の

【7ソウ】空切り

前巡の【6ソウ】手出しとのコンビネーションによりリャンメン・ターツ落としを他者にわざと見せつけているのである。

これによって相手にもたらす効果としては

① スピード感があるように見える。
② 変則手に思わせて警戒させる。

などが挙げられるだろう。

もちろんあまり不自然に装うと、ダブルターツ払いを相手に教えてしまったり、手の内の情報を漏洩させてしまうデメリットが浮上する。

しかし、今回はメリットの方が多い。
なぜなら

① スピード感がないのに早く見せられる。
→相手が距離感を見誤る。
② 字牌など鳴きたい牌がないのに変則手に見せられる。
→相手に余計な牌を絞らせる。

この後、未来予知をしてたかのように岡田・多井の二者からリーチを受けるも、準備していた安牌で事なきを終える仲林。

「現雀王と言うのもあり、リーグ戦などの対局数が減っちゃっているのが不安です。」

と開幕前に謙遜すぎるコメントを寄せた昨年度のMVP争いの主役。

今年もその力、顕在と言わしめるのに1局あれば十分であった。

視点を変えて、今度は開局に幸先良く満貫ツモでリードを築いた多井に目を向ける。

新たな顔を見せたのは東2局であった。

解説・村上淳
「昔は4巡目でこの形なら一旦【2ピン】切ってダマテンでしたね。」

仲林も対局後の振り返りの中で、同じような表現をしていたが

令和・多井の答えは

「リーチ。」

イチローの時代は“ダマテン”だったかもしれない。でも今は大谷翔平の時代なのである。

多井
「去年・今年と新しく入って来た人達が局に参加する頻度が
多くて。もしかしたらABEMASにとって、それが原因でバランスを崩しちゃってたのかな。」

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