ただ、この10パターンを細かく見ていくと濃淡にはかなり差がある。
菅原は、8巡目にのトイツ落としをしている。
より前に切っている牌をまたぐリャンメンは、先にリャンメンを固定してのトイツを残していた(いわゆる6ブロックにしていた)ことになるので、可能性は低い。今回でいうと・をまたぐ、、、は出てくる可能性が低い。
そして・が3枚ずつ見えておりダブルワンチャンスなので、、も出てきにくい。
ピンズの、は無くはないが、例えば14p待ちの場合、からを切ってリーチしたことになり、が白鳥に通りそうな場面でを切ってリーチしたことになる。25p待ちも同様でから現物のを切らずを勝負してがポンされている待ちに取ったことになる。
もちろん自身のアガリだけを見てリャンメンに取ることはあるので、出てこないとは言わないが、普通のリャンメンよりは出現頻度は少ないだろう。
そうなると、注釈の付いていないリャンメンは、、の3パターンしかなく、は本命の1つということになる。
ただ、のトイツ落としが入っているリーチだが愚形待ちが出てくることも充分に考えられる。
通常、のトイツ落としが入った後にリーチがかかったとなれば、より良い待ち、だいたいはリャンメンになっていることがほとんどだが、今回は白鳥の待ちがかなり限定されているので、白鳥に危ないピンズを引いて東で迂回したケースがある。
その場合、他のリャンメンが埋まり愚形待ちでリーチをかけるケースが出てくるので、一概にリャンメン待ちだとは言えない。
さらに考慮しなくてはいけないのが、白鳥・菅原のツモ回数だ。
白鳥には残り3回、菅原にはハイテイを入れて残り4回のツモ番がある。
を切らない場合、を切って迂回することになるが、2巡は凌げても最終手番で安牌が足らず、必ずオリきれるかどうかは分からない。
また菅原にツモられた場合は、どのみち親被りで3着になる可能性が高いので、もしオリたとしても結果3着になるパターンがある。
様々な要素が複雑に絡まった、非常に難しい局面。
白鳥の選択は
切りだった。
を押す要素はいくつかあるが、1つはが絶対に通るとは言い切れない点がある。
が当たるということはカン待ちということになるが、ともっているところから筋のを切らずに無筋のを勝負してリーチをかけたことになる。
ただが一枚切れており、枚数的にもカンが有利で、も絶対に通るとはもちろん言えないのでから切りリーチになったパターンも考えられるだろう。
そしてもう1つが、2着目瑠美への対応だ。
瑠美は白鳥のホンイツに対して、危険な牌は切っていないものの完全にオリているということもなく、安全にテンパイを入れられないか様子を伺っていた。
瑠美は白鳥まで1,200点差なので、仮に白鳥がノーテンならテンパイ料で逆転することができる。
もし白鳥がのトイツ落としを見せると、瑠美がテンパイを取りやすくなり逆転される可能性が高まってしまうという判断だ。
8mさえ通れば、瑠美も白鳥を警戒してテンパイを容易に入れることはできず、流局時白鳥は伏せる選択も生まれる。
トップを持ち帰るために攻めた白鳥だったが、結果は菅原に軍配が挙がる。
菅原の待ちは。
リーチ・一発・・赤の8,000点を白鳥からアガり、個人2連勝を決める。
リーチ時の入り目は。
は山に6枚も残っていたため、から入って待ち選択をしなければならない可能性もあった。その場合ではなくが選ばれ別の結果になっていた可能性も充分にある。
下位3チームが争った日だったが、BEASTが2連勝を決め他チームとの差を詰める。対してアベマズ、風林火山は手痛いマイナスとなった。
麻雀は1つの選択、牌のほんの気まぐれで大きく結果が変わる。
今回のオーラスも菅原と白鳥にトップの可能性があったように見えたが、実は瑠美にもトップになれた可能性があった。
オーラスは終始手がまとまらずアガリが厳しかった瑠美だが、実は4着目の醍醐が満貫のテンパイを入れており、ツモっていたら白鳥の親被りで瑠美がトップになっていたのだ。
醍醐の待ちはカン。これがなんと山に4枚残っていた。
菅原が白鳥から打ち取ったが、もしひょっこり醍醐のツモだったら__
タラレバを言い出したらキリがないのは分かっているが、その未来を考えざるをえない。
レギュラーシーズンも、気が付けば折り返しに迫ってきている。
1つの選択、1つの気まぐれが導く結果__
その結果が生みだす感情が、徐々に重くなってきている。
日本プロ麻雀連盟所属プロ。株式会社AllRuns代表取締役社長。業界を様々なやり方で盛り上げていくために日々奮闘中。Mリーグ観戦記ライター2年目。常に前のめりな執筆を心がけています(怒られない範囲で)。Twitterをフォローしてもらえると励みになります。
Twitter:@EzakiShinnosuke