苦しくとも、足掻くバタ足 白鳥翔はそうして、やがて来る飛翔の時を待つ【Mリーグ2023-24観戦記 11/30】担当記者 #後藤哲冶

苦しくとも、足掻くバタ足
白鳥翔はそうして、
やがて来る飛翔の時を待つ

文・後藤哲冶【木曜担当ライター】2023年11月30日

渋谷ABEMAS白鳥翔は直近3連続ラスと苦しんでいた。

前回登板はトップも見えていたところから無念のラス。
肌にまとわりつくような嫌な感覚が白鳥の身体を蝕んでいる。

今日は第1試合に登板した松本がトップを獲得し、ポイントを伸ばしている。
まだ中盤でチームランキングを意識するのは早すぎるが、少しでも上に行っておきたいのは確か。
相棒松本が作ったこの良い流れに乗って、開幕3連勝したあの感覚をもう一度取り戻せるか。

11月30日 第2試合

東家 白鳥翔  (渋谷ABEMAS
南家 渡辺太  (赤坂ドリブンズ
西家 伊達朱里紗KONAMI麻雀格闘倶楽部
北家 勝又健志 (EX風林火山

東1局

動き出したのは北家に座る勝又だった。
この形から【2マン】のポン。
ドラが【5マン】で打点は十分。対子が多くて少し重たいと思えば、軽快に【2ピン】から動いていく。
【白】バックの仕掛けだ。

この【白】が手に残っていたのが親番の白鳥だった。
【5ピン】【1ソウ】【2ソウ】という切り出しの勝又は、タンヤオではなさそうで、とすると役牌バックは出てきやすいものの、自身が親番ということもあればこれを絞り切る選択肢は取りにくい。
この打ち出した【白】を捉えた勝又が

2000、4000のツモアガリで先制に成功する。

勝又を良く知る白鳥だからこそ、この仕掛けの打点が高そうなことは十分理解していた。
それでも、あの【白】は止められない。

東2局

局の中盤で【6ソウ】【9ソウ】のテンパイを入れた白鳥だったが、ノータイムでこれをヤミテンに構えた。
雀頭の【北】は白鳥の自風の牌。つまりピンフの役はつかない。ロンのできない、役なしのヤミテン。

もちろん白鳥がダマテンに構えたのには理由がある。
それは、途中までマンズのホンイツに見えていた対面伊達の捨て牌にあった。
立体図を見てみよう。

伊達の最終手出しは、【7ソウ】。この手出しから、伊達がマンズのホンイツで無い事がほぼ確定。
伊達は【7ソウ】周りのターツを持っていることが確定し、伊達の手役は役牌バックか、トイトイが濃厚。
【9ソウ】がツモ切りなため、【8ソウ】よりも【6ソウ】の保有率が高い。【6ソウ】【7ソウ】【7ソウ】と持っていた所から切ったか、または【6ソウ】【6ソウ】【7ソウ】【6ソウ】を引いてきたパターンもある。
白鳥の待ち【6ソウ】【9ソウ】は既に【9ソウ】が目に見えて残り1枚で、【6ソウ】も伊達が固めて持っている可能性もあると思えば、勝ち目は薄い。

白鳥は次巡に引いて来た【7ピン】で、オリを選択。
【7ピン】は伊達には通っていて、ダブ【東】を鳴いている親の太にも、2枚目の【6ピン】空切りのケースでしか当たることは無さそうだが、それすらも当たるのを嫌がった。
これが、白鳥の誇る繊細なバランス感覚。

この局は残り1枚の【白】を伊達が引き入れて1300、2600のアガリ。
トップ目の勝又に追いすがる。

東3局

白鳥が、太からかかった5巡目リーチに対して苦しんでいた。
あまりにも早いリーチな上に、太の河には字牌しか並んでいない。

一見、なにもヒントの無いリーチに見えるが、そうではなかった。
白鳥は、しっかりと太のこの字牌の切り順から情報を拾っていた。

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