岡田紗佳、麻雀に翻弄された試練の一戦【Mリーグ2024-25観戦記 12/5 第1試合】担当記者 #東川亮

次巡、ツモ【2マン】。シンプルに【白】から切ればチートイツの1シャンテンだった。バカにしやがって。

初志貫徹、【發】をポンした岡田は、チーできる【4マン】をスルー。鳴けば手は進むがホンイツは消え、ドラを持っている相手に安手を見透かされて攻め込まれることも容易に予想できる。高い手を目指す進行を見せることで相手の動きを止め、自分がアガる時間を作る。これも戦略のひとつだ。

だが、先にテンパイしたのは松ヶ瀬だった。【2ピン】【5ピン】待ちでリーチ。

さらに【7ピン】を暗槓する。岡田も欲しい牌だったが目に見えてなくなり、一気に苦しくなった。

13巡目、岡田の手はホンイツ1シャンテンという形になっていたが、浮いていたソーズがくっつく。【6ソウ】は現物だが岡田目線で2枚しか見えておらず、リャンメン待ちに当たりうる【7ソウ】は少々切りにくい牌。

打点的見返りを重く見てソーズを切り飛ばす選択もあるだろう。しかし岡田はノーチャンスの【9ピン】で受けの選択。

【1ピン】ポンでテンパイだが、フリテン。

ただ、直前には立て続けに【6ソウ】が切られて4枚見え、ノーチャンスの【7ソウ】は切りやすい牌になっていた。先に教えてくれ、と言いたくなる気持ちも分かる。

さらにリーチの松ヶ瀬が【9ピン】切り。もしソーズを押せていれば、ここで満貫の出アガリだった。

岡田曰く、「普段のバランス」。劣勢下において、より安全なルートを選びつつ、最低限のアガリ手順だけは残しておく。おそらく、結果が安定するのはこちらの選択だろう。リスクを負えば、振れ幅も必然的に大きくなる。

ただ、それが裏目に出るのも麻雀である。結果的にアガリを逃し、松ヶ瀬の満貫ツモを親かぶりして最後の親番を終えた。

オーラスを迎えたとき、岡田は3着目からも3万点以上離れたラス目だった。もはや敗北は確定的と言ってもいい。

しかし、この舞台に立つのであれば、最後の最後まで手を抜くことは許されない。できることをやらないのは、真剣勝負の世界において最も罪なことだ。

南4局1本場では松ヶ瀬の親リーチに対して2シャンテンから【赤5ピン】を仕掛けて前進。

【4マン】【7マン】テンパイへとたどり着き、アガリきって試合を終わらせた。

タンヤオドラ赤、1000-2000は1100-2100。

着順は変わらず、ただ傷口を広げないためのアガリ。

たとえ状況は厳しくとも、今やるべきことを、岡田は遂行した。

取り上げた局の選択についてはおそらく、より良い結果になる可能性が高いものを選んでいたと思う。しかし、良い選択を選んだとしても良い結果になるとは限らないのが麻雀というゲームであり、岡田にとってはそこで翻弄されたような試合となった。

負け続けているという状況において、なんとも厳しい一戦ではある。

 

ただ、神は乗り越えられない試練を与えない、と言う。

今のこの苦境も、負けず嫌いで、麻雀に真摯な岡田なら、きっと乗り越えられるはずだ。

残した100点を手に、今は耐えるとき。

未来で美しい花を咲かせるために。

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