このリーチを受け、岡田は安全牌や字牌を切って撤退。
…が、次々と有効牌を引き入れ面子手が仕上がっていく。
そして15巡目、とうとうテンパイが入る。
待ちのピンフ。が4枚見えているが、打点が必要な岡田は、できればドラのでのアガリを狙いたい。
リーチをかけ、ライバル滝沢からの直撃を狙う。
ちなみに、岡田から見て滝沢の待ちはかなり限定されている。
ソーズの染めを猿川が狙っている中で、滝沢は→のターツを払っている。山に残っていそうな愚形を内側から払っており、好形ターツが残っていた可能性が高い。
滝沢の待ちがリャンメン以上だとすると、まずピンズは全部の筋が通っているので残っておらず、ソーズはのみ残っている。
マンズはとが残っているが、岡田がを3枚使っているからはやや可能性が低く、・の2つが大本命だろう。
仮に待ちだったとしたら、岡田は待ちなので少なくとも放銃の可能性はない。さえ引かなければ、岡田が放銃することは殆ど無いのだ。
さえ…
次巡、リーチの一発目に岡田が引いたのは無情にも。
岡田は一瞬手が止まり、観念したかのようにそっと河に置く。
リーチ・ピンフ・三色・ドラ2の跳満が炸裂する。
これが決定打となり、岡田は4着となった。
この滝沢のアガリにより、オーラスは白鳥、滝沢、猿川の三つ巴に。
トップ目の白鳥は何をアガってもOK。
猿川は1,000-2,000ツモ、滝沢は1,300-2,600ツモが条件となっている。
白鳥に好配牌が入る。
3巡目にしてリャンメン・シャンポンのイーシャンテンに。
次巡、をポンして方アガリのテンパイに取る。
が1枚も見えていない片アガリを嫌がる人もいるかもしれないが、この瞬間が出れば試合を終了させることができる点と、後の変化を考えればポンの一手だろう。
現状はしかアガれないが、を引けば待ちになるし、をポンしての待ち、さらにそこから単騎変化があったり、をポンして他家が使えないシャンポン待ちなど、様々な変化がある。
その2巡後、猿川の手牌。
三暗刻が狙える手だが、猿川は打とする。
猿川は1,000-2,000でトップになるため、が1枚切れていてツモりにくい三暗刻よりも、赤もしくはドラのが使える面子手を狙う。
ドラがなので、横に伸びたときにドラが使えるようにではなくを先に処理する。
しかし、このが白鳥への放銃となる。
タンヤオ・ドラ3の放銃で、猿川はなんと一気に3着まで着順を落としてしまう。
言わずもがなトップが欲しいBEASTにとって、この放銃はあまりにも痛い。
8,000点の素点に加え、順位点が+10から-10になっているので、実に28,000点分のポイントを一瞬で失ったことになる。
レギュラーシーズンも後半戦に入っている。
毎年この時期になると、好調なチームとそうでないチームがハッキリと分かれてくる。
今回の白鳥のように、巧みな打ちまわしで結果を出した選手に注目は集まりやすいが、自身にできることをやり尽くし逆風に抗っている選手から感じ取るドラマも、Mリーグの一つの醍醐味と言える。
2024年はもうすぐ終わりを迎えるが、Mリーグ2024シーズンはまだ序盤戦に過ぎず、ここから更なるドラマが待っているに違いない。
日本プロ麻雀連盟所属プロ。株式会社AllRuns代表取締役社長。業界を様々なやり方で盛り上げていくために日々奮闘中。Mリーグ観戦記ライター2年目。常に前のめりな執筆を心がけています(怒られない範囲で)。Twitterをフォローしてもらえると励みになります。
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