ただ、淡々と。
岡田紗佳
長き冬の戦い
文・後藤哲冶【月曜担当ライター】2024年12月23日
12月19日の木曜日第2試合。
「女の敵は女。」【Mリーグ2024-25観戦記 12/19 第2試合】担当記者 ゆうせー 伊達朱里紗 vs 猿川真寿 vs 醍醐大 vs 岡田紗佳
こんな試合があったことを、覚えている方も多いのではないだろうか。
言わずと知れた格闘倶楽部が誇る女王伊達朱里紗と、こちらも負けず劣らずサクラナイツの美姫、岡田紗佳。
2人の熾烈なトップ争いは最後の最後までもつれ……そして最後は、伊達が勝利を掴み取った。
テレビを始めカメラの前に立つことが非常に多い岡田が、インタビューで珍しく悔しさを滲ませていたこともあり、この対戦は視聴者の間で非常に話題になった。
そして今日、その両者が再び相まみえる。
視聴者は時に身勝手だ。
伊達が勝つ、いいや岡田の方が強い。
本人たちの意志は関係なく、熱狂は広がっていく。
粛々と、卓に向かう彼女達だけを残して。
12月23日 第1試合
東家 岡田紗佳 (KADOKAWAサクラナイツ)
南家 伊達朱里紗(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
西家 日向藍子 (渋谷ABEMAS)
北家 菅原千瑛 (BEASTX)
東場はじりじりとしたせめぎ合いが続く。
流局を挟んだ東1局1本場、日向が4枚使いのカン待ちでリーチを打つと、終盤に、満貫のテンパイを入れていた伊達から出アガリ。
1600の加点。
更にもう一度流局を挟んだ東2局1本場には、再び日向が親番伊達から2600のアガリ。
しかしこれも、大きく戦局を変えるには至らない。
東3局は岡田が3900のテンパイを入れるも、菅原がこれをかわす。
400、700のツモアガリで加点。
しかしこれもトップへの有効打には足り得ない。
東4局。岡田がを引き入れて少考。
ターツオーバー。どこかのターツを外すか、を切っての6ブロックか。
岡田の選択は打。
3ヘッドの際は6ブロックにせず単独対子に手をかけるのが良い。
更にはは1枚切れだ。基本に忠実に、手を進めていく。
11巡目、伊達がを引き入れてイーシャンテン。
当然のようにの部分を外していく。
タンヤオピンフが確定してかつ、三色まで見えるこの手では、当然の選択だったか。
13巡目に、岡田がテンパイ。
ペンは、とても良い待ちとは言いにくい。ドラがで、全員の河に萬子の上が高い。
1枚切れのに対して、岡田も感触があるわけではなかっただろう。
それでも、リーチを選択した。
愚形ドラ1。仕掛けも入っておらず、先手をとれた状況であれば、リーチをするのが最善と知っているからこそ。
直後、伊達が追い付いた。
を引き入れての待ちは、高目三色のメンタンピン。
そういえば、前回対戦時、伊達が岡田を最後に捲った跳満は、678の三色だった。
「これはあの時岡田を沈めたタンピン三色678! 」
Mリーグを盛り上げるべく、実況の日吉プロが声を荒げる。
加速する熱。
しかしそれとは対照的に、岡田は淡々と模打を続けていた。