だが、残り2枚のは多井の元に格納された。こうなれば、しばらくは出ない。

醍醐は第1打に時間を使い、切りを選択。普通に手を進めるには形が悪く、チャンタや三色、役牌など全ての可能性を残す。

醍醐はカンをチー、チャンタ狙いで発進すると、

多井は醍醐に対し、役牌を鳴かれることをケアして手牌を広げなかった。多井は、醍醐にアガられてしまえば3着で終わってしまう。そのため、できる限り醍醐を抑え込むことで、親の小林の連荘に期待した形だ。小林が大きくアガったとしても、次局で自分がアガれば逆転トップも十分にあり得る。

中盤に差し掛かり、本田の手はこんな形。まだまだ愚形ターツは多く、仕掛けてのタンヤオなどが狙いに入りそう。特に仕掛けのパターンが多い本田であれば、そのルートも構想にはあったはずだ。

しかし、小林の切ったは鳴かず。このときはペン
ターツの良さも踏まえた上で、リーチに踏み切ることも視野に入れていたという。
を鳴いたら手役はほぼタンヤオに限定され、そこに絡まないペン
は見切らざるを得ない。もちろんタンヤオも考えた上で、今後の手牌変化の可能性を踏まえ、選択肢を残すスルーだった。

12巡目、狙っていたペンを引き入れて、カン
の役なしテンパイ。リーチ棒は出したくない状況、いったんはダマテンと構える。

そこに、多井がリーチ。絞っていた役牌はどちらも鳴かれず、門前テンパイで逆転の見えるところまでたどり着いた。本田としては、放銃は3着落ちも覚悟しなければならず、かなり戦いづらい状況ではあったが・・・

多井がツモる前に僥倖のをツモ。

辛くも逃げ切って、チームに大きなトップをもたらした。

今日も本田の選択には数々の見どころがあった。
面白い麻雀の先に見据えるのは、チーム2度目となるファイナルの舞台だ。
さいたま市在住のフリーライター・麻雀ファン。2023年10月より株式会社竹書房所属。東京・飯田橋にあるセット雀荘「麻雀ロン」のオーナーである梶本琢程氏(麻雀解説者・Mリーグ審判)との縁をきっかけに、2019年から麻雀関連原稿の執筆を開始。「キンマweb」「近代麻雀」ではMリーグや麻雀最強戦の観戦記、取材・インタビュー記事などを多数手掛けている。渋谷ABEMAS・多井隆晴選手「必勝!麻雀実戦対局問題集」「麻雀無敗の手筋」「無敵の麻雀」、TEAM雷電・黒沢咲選手・U-NEXT Piratesの4選手の書籍構成やMリーグ公式ガイドブックの執筆協力など、多岐にわたって活動中。