仕掛け屋・本田朋広が鳴かずに選び抜いた勝利への道筋【Mリーグ2024-25セミファイナル観戦記 4/15 第1試合】担当記者 東川亮

だが、残り2枚の【東】は多井の元に格納された。こうなれば、しばらくは出ない。

醍醐は第1打に時間を使い、【5マン】切りを選択。普通に手を進めるには形が悪く、チャンタや三色、役牌など全ての可能性を残す。

醍醐はカン【2ソウ】をチー、チャンタ狙いで発進すると、

多井は醍醐に対し、役牌を鳴かれることをケアして手牌を広げなかった。多井は、醍醐にアガられてしまえば3着で終わってしまう。そのため、できる限り醍醐を抑え込むことで、親の小林の連荘に期待した形だ。小林が大きくアガったとしても、次局で自分がアガれば逆転トップも十分にあり得る。

中盤に差し掛かり、本田の手はこんな形。まだまだ愚形ターツは多く、仕掛けてのタンヤオなどが狙いに入りそう。特に仕掛けのパターンが多い本田であれば、そのルートも構想にはあったはずだ。

しかし、小林の切った【7マン】は鳴かず。このときはペン【7ピン】ターツの良さも踏まえた上で、リーチに踏み切ることも視野に入れていたという。【7マン】を鳴いたら手役はほぼタンヤオに限定され、そこに絡まないペン【7ピン】は見切らざるを得ない。もちろんタンヤオも考えた上で、今後の手牌変化の可能性を踏まえ、選択肢を残すスルーだった。

12巡目、狙っていたペン【7ピン】を引き入れて、カン【4ソウ】の役なしテンパイ。リーチ棒は出したくない状況、いったんはダマテンと構える。

そこに、多井がリーチ。絞っていた役牌はどちらも鳴かれず、門前テンパイで逆転の見えるところまでたどり着いた。本田としては、放銃は3着落ちも覚悟しなければならず、かなり戦いづらい状況ではあったが・・・

多井がツモる前に僥倖の【4ソウ】をツモ。

辛くも逃げ切って、チームに大きなトップをもたらした。

今日も本田の選択には数々の見どころがあった。
面白い麻雀の先に見据えるのは、チーム2度目となるファイナルの舞台だ。

 

  • この記事が気に入ったら
    フォローをお願いいたします!
    最新の麻雀・Mリーグ情報をお届けします!

  • \近代麻雀シリーズ 新刊情報/