最強の遺伝子〜その名は、多喜田翔吾。【麻雀最強戦2025 最強の遺伝子】観戦記【決勝卓】文:千嶋辰治

対する保里、

これまでディフェンシブな立ち回りだったが、ここは多喜田の一色仕掛けにドラをぶっ放して交戦上等。

口をキッと真一文字にして、こちらも腹を括った様子。
その後、

イーペーコーのカンチャンターツを払い、広い形を求めていく。

すると、多喜田がさらに動く。

【3ソウ】を345で鳴いてイーシャンテン。
次巡に多喜田が【3ピン】をツモ切るのだが、

仕掛け屋の鷹見、これを仕掛けなかった。
上家の多喜田がソーズの仕掛けでピンズやマンズはなんでも下りてくる状況。
234三色や【6ピン】との振り替わりは期待できるように見えたのだが、卓の中にいる鷹見はそう判断せずにツモ山に手を伸ばした。


この仕掛けの是非がどうだったか…。

そして、決着の時は迫る。

多喜田、いよいよテンパイ。
そのタイミングで山脇の手が止まった。

奇跡の倍満ツモに向かうならば456三色が本線。そのためには【7ソウ】【8ソウ】が全く要らない。
だが、【8ソウ】は多喜田のロン牌だ。

あくまで自己都合で真っ直ぐに向かっても… そう思われる方は少なくないはずだ。
しかし。

長考の末に安全牌を抜き、戦いの舞台から身を退いた。
しかし、山脇は夫の決定打を願ってはいなかったはず。
保里の連荘でもう1局を願っただろう。
そのために勝負を預けたのだから。

直後の保里。

イーシャンテンのところへ【2ソウ】ツモ。
こちらも自己都合ならツモ切るべき牌だ。

逡巡してしまった保里。

決断を保留して【2ソウ】を手に留め置いてしまう。
すると、多喜田の手が2段階で変化。

最終的に【2ソウ】【5ソウ】【8ソウ】待ちとなり、保里の【2ソウ】が助からなくなった。

絶体絶命。
が、何たる生命力か。

多喜田のロン牌を吸収して打【2ピン】と、ヘッドを振り替えて勝負続行。
まだ神様は勝者を誰にすべきか迷っているのか。

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