そしてたろうが
を引いて聴牌。しかし二着目の伊達の仕掛けにわざわざドラを打つ必要なしと
の対子落としで回る。
次巡、たろうが引いてきたのは……
である。伊達の現物、ラス目の柴田は鳴いていない。どうせドラは切れないうえにそもそも
周りのくっつきも弱い。
当然切る。当然。しかしかかる柴田からのロン。
12000点の失点はまさしく身を削られる痛み。
さらに次局、伊達の逆襲は3巡目リーチ。
安全牌がないイーシャンテンのたろうは……
一発目からドラをぶつけた。
仕上がっているわけではない。現物の
さえ鳴ければ躱し切れる。
これが一番得だと思うから。いつだってたろうはそうやって、他の人が切れない牌を切ってきた。
オーラス。
伊達に捲られて迎えたこの局面だって、2000点のツモ直よりも3900のホンイツを作りに行く。和了ってトップのこの手に。
掴んだ無情の
。
12000の放銃に飽き足らず。
最後はたろう目線、一番和了ってほしくない内川の逆転の和了り。
ただただ言葉が出ない不条理。ゼウスたろうといえど、ここまで運命に弄ばれるのか。
インタビューでも、ここまで元気がなかったたろうは未だかつて見たことがない。
幸運に天井が無いように、不運にだって底はないのかもしれない。それでもここが底だと信じて……

日本プロ麻雀連盟所属・35期後期生。麻雀と着物と民俗学が大好きなプロ雀士。
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