もどかしさのなかで未来を切り開け 東城りお、祈りの先につかんだ勝利【Mリーグ2025-26 レギュラーシーズン 観戦記 12/8 第2試合】担当記者 東川亮

もどかしさのなかで

未来を切り開け 

東城りお、祈りの先につかんだ勝利

文・東川亮【バックアップライター】2025年12月8日

大和証券Mリーグ2025-26、レギュラーシーズンは、各チームが折り返しの60戦を終えようとするところまで進んでいる。それぞれチーム事情が違うなか、それを象徴するかのように、麻雀というゲームもなかなか一筋縄ではいかない展開になることが多い。選択の連続である試合において、各選手は何を思い、目の前の一打に臨んでいるのか。

第2試合

東家:東城りお(BEAST X) 
南家:高宮まり(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
西家:仲林圭(U-NEXT Pirates)
北家:HIRO柴田(EARTH JETS)

東3局1本場、親番だった仲林の手牌はメンツがひとつあるもののリャンメンターツがなく、タンヤオにもなりにくそうな、なかなかアガリへの方向性が定まらない形だった。

6巡目の【9マン】引きで【6マン】と振りかえ、789の三色を視野に入れる。

8巡目、仲林は重なった【9ピン】を残して【3ピン】を切った。中盤になっても場にピンズの中張牌がほとんど切られておらずピンズへの感触がなかったことや、トイトイへのわたりも見ての選択か。

そして【5ピン】ポンから発進すると、立て続けに【9ピン】もポン。一気にトイトイへとかじを切る。1シャンテンの選択で【8マン】を残したのは、見た目枚数もさることながら、早い段階で2人が【9マン】を切っていることから重なりやすさも見たか。

ここから【8マン】を2枚引き入れての2600オールは、加点もさることながら、仲林オリジナルとも言えるような手順と構想力が見事だった。

東4局
ラス目の東城は4巡目にしてテンパイ。カン【5ピン】待ちで役はないがドラドラ赤で満貫以上が確定、ここで思い切ってリーチと行きたくもなるところだが・・・

東城の選択はダマテン
これは後の変化を見た選択だ。一手変わりの良形変化は【3ピン】【7ピン】の2種しかないが、ソーズ2メンツがつながっているのがポイント。

ソーズ引きは【1ソウ】以外であれば受け入れが広く、役ありの良形テンパイにもなりやすい1シャンテンになる。たとえば、この【9ソウ】引きはうれしい変化のひとつ。

5巡目のカン【5ピン】待ちリーチと8巡目の3メンチャンリーチでは、おそらく後者のほうがアガりやすそうだし打点も高い。実際、東城から5枚見えとは言え、山には6枚も残っていた。

これをしっかりとツモって3000-6000。目先のテンパイにとらわれず、二次変化までを見逃さなかった東城の手順もお見事だった。

試合は仲林と東城がリードしながら進み、オーラスを迎えたときには共にアガればトップ、という状況になっていた。とはいえ、親番の柴田は試合が続く限りチャンスが残る。

ただ、このオーラスで主導権を握ったのは、残る一人である高宮だった。南4局1本場、ハネ満ツモ条件の高宮に【白】がトイツというチャンス手が入る。

5巡目、ある程度手の進んだ東城から【白】をポン。「一番鳴かれたくないところに鳴かれてしまった」と東城、これで放銃したら3着落ちということで、仲林と共に慎重にならざるを得ない。

さらに高宮は【7ソウ】もポン、【9ソウ】単騎でテンパイ。待ち自体はかなりよさげで、実際に山にも2枚残っており、高宮もどこから出てもアガるつもりだったというが、なかなか顔を出さない。

そして12巡目に【2ピン】を引いてノベタンの【2ピン】【5ピン】待ちに変化。ただ、ここで【9ソウ】を手出ししたことで、仲林は単騎からの待ち変えを想定したという。安全牌の【西】を切ってまで残していたのが、【7ソウ】ポンの外側の【9ソウ】だったからだ。

その後、高宮は【白】を加カンして【5ピン】が新ドラ、ハネ満ツモで逆転トップのルートもできたが流局。リーチの柴田との2人テンパイで試合は続く。

南4局2本場では高宮が逆転条件を目指してドラの【1ピン】を最後まで引っ張る選択をしたが、【1ピン】は配牌から仲林に暗刻だった。また、あえて【1ピン】単騎に受けた場面はハネ満でのトップ狙い、あえてのリーチは相手をおろして点差を詰める、あるいは3着を確保するためという選択だったが、

リーチ直後に柴田にツモられるという、どうにもかみ合わない展開。しかも供託が大きく、これでいったんラス落ちとなってしまった。

南4局3本場も、高宮にチャンス手が入った。ドラと赤が潤沢にあり、再度のハネ満条件もクリアできそう。

もちろん、アガリトップの東城としてはいい加減にケリを付けたい。8巡目、ピンズの伸びを消す【5ピン】切りは、この局をタンヤオで決めきろうという決意の表れか。

柴田からの【6マン】をチーして手を進め、カン【4ソウ】待ちテンパイ。待ちとしてはかなり悪そうが、この局面ではとにかくアガれるテンパイに価値がある。

どんなに悪い待ちでも、テンパイさえしてしまえばアガれる可能性は常にあるからだ。勝負手だった高宮は、前巡に安全牌を消費して、受け入れを最大まで広げる【4ソウ】を引っ張ってしまっていた。そこに【6マン】を引いてしまえばツモって逆転トップのテンパイ、出ていくのはどうしたって【4ソウ】になる。

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