神は細部に宿る 勝敗を分けた、黒沢咲の繊細な選択【Mリーグ2025-26 レギュラーシーズン 観戦記 12/22 第2試合】担当記者 東川亮

打ちにくい【6ピン】を持って来て、テンパイ外し。形式テンパイにこだわる打ち手ではない。

それによって、ピンズくっつきを生かしてのテンパイ復活に成功。

このピンズ止めはおそらく下家の仲林に対応してのものであり、実際に【6ピン】を残していなかった場合、【7ピン】を岡田の現物として切っていたら、仲林にテンパイをとられていただろう。これにより、仲林との点差をわずかながら広げることに成功する。

次局は岡田のリーチを受けながら【3ピン】を切ればテンパイを取れるところで、取らずの【7ソウ】切り。

実際、【3ピン】は岡田のロン牌で、ラフに突っ込んでいれば、リーチタンヤオドラ赤の12000からという大物手に放銃していた。豪快かつ爽快な攻めが黒沢の麻雀の魅力ではあるが、この試合ではこういう細かい対応が最後まで生きた。

オーラスは仲林が満貫ツモを決め、岡田のみならずたろうまでもかわして2着で試合を終えた。

黒沢と仲林の点差はわずかに3000点。

南3局4本場の守備はもちろん、南3局3本場のテンパイノーテンが如実に結果へと表れることとなった。

試合後のインタビューでアガリ1回という結果について話を振られ「私らしくないトップの取り方だったなと思います」と語っていたが、この試合は、派手なアガリにばかり注目がいく黒沢の新たな、いや、これまで目立たなかった一面が表れた試合だったように思う。こういう繊細な選択があってこそ、ド派手な攻撃が生きる。

「神は細部に宿る」

という言葉がある。

細かいディテールに妥協せずこだわりぬくことで質を高める、という意味合いの言葉だが、この日の黒沢の麻雀は、まさにそうした大切さを表していたと言えるのではないだろうか。

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