滝沢和典 vs 渡辺太 運命を分けた最終日【Mリーグ2025-26 セミファイナル 観戦記 4/30 第1試合】担当記者 喜多剛士

4者がイーシャンテンで進む中、まず先にテンパイを入れたのは内川。ここは誰もがリーチと思ったが、内川の選択はダマ。

親の太が【5ピン】【6ピン】【7ピン】でチーしており、筒子の上はすでに面子が完成している。そうなると【5ピン】【6ピン】のターツは太の手牌にある可能性は低いため、【4ピン】【7ピン】は太には通りやすく、相対的に危険度は低くなると読んだ他家からこぼれる可能性を狙った選択だった。

そこへ太も追いつく。【8ソウ】が暗刻となり、タンヤオ・ドラ・赤2の12000点。この高打点をなんとしても決めたい。

さらに滝沢がテンパイし、【5ソウ】【8ソウ】待ちでリーチ。内川もツモ切りリーチで応戦し、2軒リーチ。親の太もテンパイしており、三者がぶつかり合う展開となった。

そして滝沢が【4ピン】を放つと、太と内川の二人から同時に「ロン」の声。頭ハネで内川のアガリとなり、リーチ・ピンフイーペーコーの3900。

太にとっては、条件戦で最高の相手(滝沢)から12000点が頭ハネで消えた瞬間。悔しさは想像を絶するものだっただろう

一方の滝沢は放銃とはいえ、太のロンの声を聞いた瞬間に胸をなで下ろしたはずだ。3900で済んだのは、ある意味“救われた放銃”。滝沢は以前にも国士無双頭ハネで回避したことがあり、頭ハネに不思議と縁がある男だと感じさせる場面だった。

 

東4局

滝沢はチートイツのイーシャンテンから【8マン】【2ピン】を暗刻にし、一気に四暗刻のテンパイへと駆け上がった。

この親番で役満が出れば、KONAMI麻雀格闘倶楽部のファイナル進出はほぼ確定といっても過言ではない。滝沢にも緊張が走り、結果待ちのフェニックス陣営にも重い空気が流れる。

そこへ太も追いつく。1枚切れのドラ【白】単騎か、【1マン】【4マン】【7マン】【6マン】の多面待ちか。【白】は1枚切れとはいえ巡目が深く、他家から放たれる可能性は低い。打点は落ちるが、ツモに懸ける多面待ちを選択した。親被りでも十分と太の判断には、トップ命題の覚悟を感じる。

しかし、その直後だった。

滝沢が【9ソウ】をツモ。 四暗刻・16000オール。

親の役満で一撃64000点差。この瞬間、ファイナル進出を決定付けた。

筆者・喜多も、麻雀最強戦で滝沢に役満を放銃したことがある。トップ条件の場面で親の役満を決められたときの絶望感は、本当に言葉にならない。 気持ちを切り替えようとしても、点差を見るたびにどうしても焦りが出てくる。

実際に対局してみると、点棒を持った滝沢の立ち回りはとにかくクレバーで、一打一打に無駄がなく、こちらの選択肢を少しずつ奪われていく感覚がある。その強さを、筆者は最強戦の舞台で身をもって味わった。

だからこそ、今回の太が置かれていた状況がどれほど厳しかったかがよく分かる。役満を決めた滝沢を崩すのは、正直に言って簡単なことじゃない。そして、大事な場面で役満を決めてしまうのが滝沢和典という男なのだ。

 

このあと太は、東4局1本場で四喜和のチャンスと見るやアガリを見送り、南2局では内川の親リーチに対して一度は降りていたところからチーを入れ、 滝沢にツモ番を回して少しでも放銃の可能性を増やそうと試みた。さらに、その後も見逃しからの直撃を狙う場面があったが、どれも実を結ぶことはなく終局となった。あの状況でも勝ち筋を探し続けた太の姿勢には、心から敬意を感じる。

この試合は、滝沢が見事な四暗刻を決めてトップとなりKONAMI麻雀格闘倶楽は赤坂ドリブンズと279.8ptで最終戦を迎える事になり、ほぼファイナル進出が濃厚となった。

悔しいのは渡辺太だ。この試合は、何度も心が折れそうになる場面が続いた。それでも太は、厳しい条件下で“いま自分にできること”を一つずつ積み重ねていった。

それこそが麻雀の本質であり、ネット麻雀で頂点を極めた男・渡辺太が持つ、揺るがない強さそのものだ。

去年の悔しさを越え、今年の悔しさを抱え、来季こそ光が射すと信じている。

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