すぐさまこのように言葉を継ぐ日吉のセンスには毎度、舌を巻いてしまう。
明らかに、言わなくていい。放言だ。蛇足だ。
すでに麻雀の話ではなくなり、紅茶の話になっている。
むろん牌からも卓上からも、紅茶の上品な香りなど漂いはしないのである。
だが「口から先に生まれた」と評されるくらいのおしゃべりになると、このあたりはおそらく無意識に発語していると思われる。
このアドリブの速さとセンスとが、視聴者の笑いを生み、興味を抱かせる「実況の魔術」として顕現する。更に、持って生まれた声質と力。そこにパワーとパワーワードとが加わり、日吉を唯一無二の人気実況者たらしめているのだ。
決して語彙力があるわけではない。
職業アナウンサーのように、正しく綺麗な日本語が操れるわけでもない。
よく噛むし、よく間違うし、よく興奮する。
その実況ぶりには賛否両論あるだろう。
だが、Mリーグの語り部として、あるいはMリーガー以上に、熱狂を外へ拡げている張本人であることは事実。日吉(&土田の漫才コンビ)からMリーグに興味を持って見始めたという声の多いこと多いこと。そして、そのテンションに、ワードセンスに、いつの間にか魅了されてしまうこともまた、厳然たる事実なのだ。
たろう、首尾よくテンパイ。狙い通りだ。
日吉「これは素敵」
日吉「もう点数あげていいですもん」
日吉「小粋なたろう、鈴木たろう」
日本語ラップの如く韻を踏む日吉実況をよそに、ダブ東のみの1300は1500オールとはいえ、溜まりに溜まった供託も回収し、たろうが東場の主導権を握った。
東3局
ここからの2局は「あれ」が牙をむく。
萩原が、先制リーチのたろうに対し、真っ向勝負を挑む。
萩原「リーチ」
たろう「ロン」
日吉「裏3-!!!」
リーチ・一発・赤・裏3のハネ満=12000点。
今シーズン、何度目の裏3か。
東4局
勝又が、鳴いている醍醐に対して、勝負を挑む。
勝又「リッチ」
醍醐「ロン」
そう。
あれ=リッチロン牌の連続出現により、はっきりと上下が分かれてしまった。
かに思えた。
南1局
前局、放銃に回った勝又が好配牌から
を仕掛け、
さらに
をチーした次巡に嬉しい
を引き、あっという間に
・赤ドラドラの12000点のテンパイ。これは凶悪。子方にとっては、地獄のロシアンルーレットが始まった。
かと思いきや、次巡あっさりと自力でツモって、親の満貫成就。
先ほどの失点をすぐに取り返す。
日吉「いきなり戻ってきました!」
日吉「よう、俺だよ勝又だよ4000オールだよ」
イメージとしては、死んだと思われていた悪役が実は生きていて主人公たち一行のもとに再び現れるという漫画やアニメなどの創作を意識したセリフだろうか。
それにしてもやはり、ここでも日本語ラップのような小気味良さだ。
YO! 俺だよ、勝又だよ、よんせんオールだ、YO!
対局者に憑依して、絶対にそのMリーガーが言わないであろうセリフをアテレコするというのも日吉の十八番。鉄板の持ちネタである。
南1局1本場
実況を解説する場ではない。真面目に麻雀の話をしよう。
この半荘の決め手となったのがこの局。
トップ目のたろうが
を仕掛け、手にはダブ
トイツにドラの
もある。
満貫以上で、アガればほぼ決定打。
御覧のように、
を切らずに引っ張っている。
もちろん染め手をぼかすために他ならない。たろうの、よく目にするテクニック。












