トップまであと1牌となった日向藍子は、トロッコのレバーをゆっくりと倒した。の巻【Mリーグ2026-27 観戦記 10/12 第1試合(麻雀ch)】担当記者 中島由矩

トップまであと1牌となった日向藍子は、

トロッコのレバーを

ゆっくりと倒した。の巻

文・中島由矩【月曜担当ライター】2026年10月12日

有名な思考実験に【トロッコ問題】というのがある。概要は、こうだ。

ブレーキの壊れたトロッコが、線路を暴走している。そのまま進むと、前方で作業をしている5人の作業員が轢かれてしまう。

あなたは線路の分岐レバーの前に立っている。レバーを倒せばトロッコの進路を変えることができるものの、移動先の線路には別の作業員が1人いる。

あなたには、2つの選択肢がある。いや、あなたには選択肢が2つしかない。

1・何もしない(5人が轢かれる)

2・レバーを引いてトロッコの進路を変える(1人が轢かれる)

しばらくの間があって、日向藍子はゆっくりとトロッコのレバーを倒した。

それは、打【赤5ソウ】か、それとも打【1マン】か。

第1試合

東家:日向藍子(渋谷ABEMAS)
南家:佐々木寿人(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
西家:瀬戸熊直樹(TEAM RAIDEN / 雷電)
北家:渡辺太(赤坂ドリブンズ)

苦しい苦しい選択の前に、気持ちのいいアガリをご覧いただこう。「お口直し」と書くと、順番が逆か。

東2局

「リーチ」

気持ちのいい先制リーチを打ったのは、親番の寿人。【4マン】と【6ソウ】のくっつきイーシャンテンに、三面張となる【5マン】を引いたとあっては、今夜も寿人の一人舞台となるか。

さあ、その一発目に、悩ましいのは日向だった。

マンズのホンイツを目指していたところに、ドラの※白を持ってきたところ。

何もなければ打【1ソウ】もしくは打【4ソウ】といきたいところだが、親リーチに一発で打ち上げれば、何点払うことになるか分からない。

オリたり回ったりする牌もなく、打【4ソウ】よりはまだマシな打【1ソウ】を、目をつぶって打つしかないか…。

「カン」

日向の選択は、そのどちらでもなかった。第3の候補である、【9マン】の暗カン。新ドラと裏ドラは増えるものの、一発消しにはなる。何よりこの手は、オリていい手じゃない。やるぞ、日向藍子。

ありとあらゆる無筋を押し、最後に残ったのは【4ピン】だった。

自身の手は、安めの【1マン】【4マン】【7マン】でアガると、ホンイツ・ドラドラ・赤の跳満、高めの【白】でアガると、【白】・ホンイツ・ドラ3・赤の倍満だ。

【4ピン】を打つことは決まっている。あとはリーチ判断だけなのだが、ちょうど前巡に寿人が【7マン】をツモ切っていて、現物になったばかり。

日向はダマテンを選択し、息を潜めた。すると、

寿人が光の速さで【4マン】をツモ切る。

「ロン」

(リーチしときゃ一発で倍満からだったな…。裏ドラ何だったんだろ…。)

なんて思う間もなかったかもしれない。

日向はバンザイをして寿人から点棒を受け取った…のではなく、どうやら8000か12000かで認識違いがあった模様だ。

 

日向は東3局にも、リーチをかけツモアガリすると、裏ドラを乗せて2000・4000。

順調に点棒を積み上げていく。

日向の独走に陰りが見えたのは東4局、

ファーストテンパイは、トップ目の日向。ドラの【8ピン】を1枚切り飛ばしての2000点は、打点的な不満は残るものの、1局消化できることに重きを置いた。

そこに寿人から赤赤内蔵の先制リーチを受ける。高めでイーペーコーとなるツモ【4マン】なら3000・6000からという大物手だ。

日向が回っている間に、追いついたのは瀬戸熊。【3ソウ】【6ソウ】【9ソウ】待ちの三面張をダマテンに構える。

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