トップまであと1牌となった日向藍子は、トロッコのレバーをゆっくりと倒した。の巻【Mリーグ2026-27 観戦記 10/12 第1試合(麻雀ch)】担当記者 中島由矩

ダマテンにした理由を、後のインタビューで

「下家の太さんが前巡【9ソウ】打ってたんで、トイツ落としかなと思って」

と語った。実際太の手は、

【9ソウ】が2枚あるところからの1枚だったわけだが、

瀬戸熊のテンパイ打牌が【7ソウ】だったのを見て、

いったん【7ソウ】を合わせた形。日向は、同巡

この形からはこらえたものの、

瀬戸熊から2軒目のツモ切りリーチを受けてから、打【9ソウ】となった。

太が打ってくれていれば…。あるいはダマテンの時に放銃していれば、3900で済んだものを…。後悔は尽きない。考えられる範囲で最悪の、悪夢の8000献上となった。

瀬戸熊は、南2局1本場にダブ【南】を仕掛けると、ハイテイでツモアガリ。

2000・4000を手にしてトップ目に立つと、ついに運命のオーラスを迎える。

 

南4局2本場(供託2)

東家・渡辺太 9900

南家・日向藍子 32900

西家・佐々木寿人 18600

北家・瀬戸熊直樹 37600

ラス目で親番の太は、明日の朝まで連荘したい。第1ツモで自風の【東】を重ね、赤が1枚にドラ【8マン】の受け入れもある。

2着目の日向は、2本場に供託が2本あることも含めると、500・1000は700・1200のツモアガリでトップになれる。

第1ツモでソーズのメンツが完成し、ドラ【8マン】であることも加味すると、三色同順・ドラ1や【白】・ドラ1、【白】・チャンタというルートもある。

また、瀬戸熊以外からのロンアガリは、2000点では足りず、その場合チャンタ・三色同順・ドラ1や【白】・チャンタ・ドラ1なども消さずに進行したい。

 

「チー」

日向は、【1ピン】チーから発進した。トロッコは、静かに動き出す。

その頃、寿人も静かに手牌を前へと進めていた。

ドラ【8マン】に、仮にドラ表示牌の【7マン】をくっつけたとしても、3900はもちろんのこと8000でも着アップにはならないが、

ここまで育てば話は別だ。

【2ソウ】【5ソウ】・【8ピン】のテンパイには取らず、一気にソーズへ寄せていく。日向が500・1000ツモでトップを目指したように、寿人は3000・6000ツモでトップがねらえる。門前で仕上げるか、一気通貫をつけるか、あるいは…

この【赤5ソウ】が鳴ければ。

この【赤5ソウ】が出たら、寿人は仕掛けるだろう。問題は、日向の立場で考えたときだ。

【1マン】で待っても、【赤5ソウ】で待っても、打点は同じ2000点。枚数は、【1マン】が2枚切れていて残り1枚、【5ソウ】はション牌だから残り3枚。しかし、下家の寿人がソーズ模様で、【5ソウ】を何枚持っているか分からない。

(ならば、誰もがツモ切る【1マン】で…)

こうして打ち出された【赤5ソウ】を、寿人がチー。

【4ソウ】【7ソウ】【6ソウ】【9ソウ】の四面張に受けると、最後は日向からロンアガリ。

12000は12600で2着目に浮上し、試合終了となった。

日向に日向のトロッコ問題があったように、寿人にも寿人のトロッコ問題があった。日向から出た【4ソウ】を見逃して、四面張をツモアガる、もしくはすぐ下家の瀬戸熊からロンアガリできれば、トップになれていたのだ。

しかし、寿人はロンを宣言し、KONAMI麻雀格闘倶楽部に差し引き34.6ptをもたらした。

こちらは、一時着ダウンを覚悟したものの、横移動でトップが転がり込んできた瀬戸熊。

インタビューでは、

「ボクのポイントは、チームのポイントです」

と、力強く語った。ホッとした表情が印象的だ。

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