エースの真価は勝てない時にこそ問われる──石井一馬とエーシーズ(AA)──【Mリーグ2026-27 観戦記 11/6 第2試合(麻雀2ch)】担当記者 小林正和

その我慢が、報われる瞬間が訪れようとしていた。

待ち焦がれていたドラの【北】が、ついに姿を現したのである。

だが、しかし…
よりによって、その【北】を手にしたのは仲林だった。

今、卓上で最も【北】を止められそうな相手。
そして、その手が実際に止まっている。

5秒。

10秒。

15秒。

…20秒。

長い。あまりにも長い20秒だった。

そして次の瞬間、

仲林の表情が変わる。

こんな仲林圭を、見たことがあっただろうか。

長い沈黙の末、【北】を河へ置くと

それは、東場で何度も跳ね返されながら、それでも自分の麻雀を貫き続けた男の、待ちに待った瞬間だった。

一馬
「ロンっ!」

その8000点には、チームのエースとしての意地が詰まっていた。

昨年、苦しむチームメイトに送った言葉。

「自分のマイナスをチームへの迷惑だと思わず打ってほしい」

まるで今度は、その言葉を自分自身に言い聞かせるかのような、一馬らしい一局。

そして、このアガリを追い風に上昇気流を掴むと、トップへと駆け上がったのであった。

試合後のインタビュー。

そこで語られたのは、勝利の喜びだけではない、あまりにも素直で人間味あふれる言葉だった。

一馬
「(【北】単騎のヤミテンは)ずっとウズウズしてて、早くリーチしたい! リーチしたい!! でもヤミテン!!! 自由気ままにやりやがって! くそっ!! って思ってましたよ(笑)」

「ずっとね、チームに迷惑かけちゃってるなぁて。自分の中でも焦りみたいのを感じるところもあってね…」

かつて仲間に送ったその言葉を、今度は自分自身に。誰かを支えてきたエースだって、苦しいときはある。

それでも、一馬が最後に口にしたのは、自分のことではなかった。

「応援してくれる皆さんから、三浦さんが登板してないと、たくさん心配してくださる声があるんですけど。近々、登板ありますので、ぜひ楽しみに待っててください!」

自分自身も苦しい。

それでも、最後まで仲間を思う。
きっと、そういう男だからこそ、チームのエースなのだろう。

エースと、もう一人のエース。

ポーカーには、最強のスターティングハンドがある。2枚のエースがそろった「ポケットエーシーズ(AA)」だ。

だが、最強の手札であっても、必ず勝てるわけではない。負けることもある。苦しい時間が続くことだってある。

それでも、エースの価値が失われるわけではない。

一枚ではなく、二枚。

支え合いながら、再び立ち上がる。

EARTH JETSが本当の上昇気流をつかむには、もう一人のエースの力が必要だ。

三浦智博。

この男の復活なくして、EARTH JETSの逆襲は語れない。

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