麻雀IQ160超の競演!?
朝倉康心、6本の無筋を越えて
文・カイエ【火曜担当ライター】2026年11月3日
昨年のオフシーズン、最もポジティブな話題をさらったのは、この男の「帰還」だったのではないだろうか。
誰もが目と耳を疑うドラフト指名に、界隈は一時、興奮の坩堝と化した。パイレーツ推しのクルーだけではない。プロ・アマ問わず、麻雀界全体が祝福ムードで、男の復帰を歓迎したのだった。
その経歴をいまさら紹介する必要もあるまい。
当時、人類には到達不可能とまで言われていた、ネット麻雀「天鳳」における初代の天鳳位。最初のひとりが壁を破ると、後続者たちにはその壁が見えなくなる。バニスター効果とも呼ばれるその現象により、その後、人類未踏の地に多くの「鉄強」が足を踏み入れるという歴史的な転換点を刻んだのだった。しかも、自らも11代目の天鳳位に戴冠するという変態っぷり。「リアルとネットの架け橋」の異名を引っ提げて、彼はMリーグ初年度から参戦した。
すると、早くも2年目には涙の優勝を果たすも、4年目のシーズンを終えた2022年オフ、チームのレギュレーション抵触により、康心の契約が更新されることはなく、以後は公式解説者へと転身を遂げた。
そして、今シーズン。
史上初の同一チームへの出戻り復帰を果たした朝倉は、リ・スタートの夢舞台となる開幕からの2戦を、素晴らしい内容で連勝。新たな異名である「天馬行空」に相応しい自由奔放な発想や、素人目にはうまぶりと紙一重のようにも見える戦慄の手組や構想力が冴え、私などもASAPINの超精緻&新次元麻雀を垣間見た思いで大いに興奮させられたものの、そこからは一転、苦しい戦いが続いている。トップは最初の連勝以来、獲れていない。
心技体が整ったはずが、最近では禁断のヘラピンの姿まで、目撃されるようになってしまった。
それでもこの男の出場にいつもわくわくしてしまうのは、朝倉康心というMリーガーが、誰よりも考え、誰よりも迷い、それでも再び卓に向かう人だからだ。怖さを知りながらも勝負に踏み込み、自分の判断を信じて、最後まで卓上で答えを出そうとする麻雀プロだからだ。そこに痺れる憧れる、のである。
第2試合
東家:勝又健志(EX風林火山)
南家:朝倉康心(U-NEXT Pirates)
西家:下石戟(BEAST X)
北家:堀慎吾(KADOKAWAサクラナイツ)
解説の土田浩翔(最高位戦日本プロ麻雀協会)が「麻雀IQの合計700超え!」の面子と紹介した、巷間云うところの所謂「ガチ卓」となった。
ところで、勝又のそれは220で不動なので、残りの480を三人で分配する計算となる。
すると一人あたりのIQ=160? 「勝又よりも低いだと?」「随分と舐められたものだ!」と怒るようなキャラは、しかしどうやらこの中にはいなさそうだ。苦笑・失笑・冷笑のどれかを選びそうなメンバーが、揃っている。
東場は、東2局1本場に堀が朝倉からアガったリーチ・ピンフ・赤の3900は4200点が最高打点という、小場で進行した。
南1局には親の勝又がリーチ・ツモ・
の2600オールのアガリでトップに。
続く南1局1本場は配牌からドラを暗刻にしていた堀がダマでツモって2000・4000。俄かに高打点が飛び交う展開に、トップの行方はますます分からなくなっていた。
南2局
それを象徴するのがこの局。
親の朝倉の配牌。
が暗刻のドラ3内蔵。
下石の配牌。打点的な魅力には欠けるものの、手格好は悪くない。
堀の配牌。ホンイツ・トイトイやその先のタテ系の役まで見える。
勝又の配牌。
含みの4連形にマンズで1メンツ。
の雀頭まであり悪くない。
さらに下石の手がメンホンをはっきりと指し示すと、
日吉「勝又、ドラ引き、文句なし!!」
声に出して読むと気持ちいい、名調子が飛び出す。
今日も実況は舌好調である。
朝倉も急所を埋めて、親の満貫「から」のイーシャンテン。
下石だって、全てピンズのホンイツ関連牌の手に。
いやいや、堀だって忘れてもらっては困る。
はっきりと四暗刻を意識できる大物手のイーシャンテンだ。
少し落ち着こう。
ここまでで僅か4巡。全員が高打点のイーシャンテン。
そして、先制リーチは勝又だ!
あっさりとリャンメンを引き入れ、
–
待ちは山に5枚。














