「ああ、リーチせずだったかな…」
南3局1本場、白鳥の選択は打。
を残してマンズの伸びを見る手もあるが、場を見るとの場況がすこぶる良い。
白鳥の読み通り、は残り2枚が全て山に残っている。
を重ねてのタンピンリーチを打ちたいところだ。
すると次巡持ってきたのはテンパイ逃しの。
いやいや、ムリムリ。
の方がいいんだから。
しかしそのも両脇に流れツモ切られる。
人ならこう思う。
「そ゛の゛が゛い゛る゛の゛は゛知゛っ゛て゛る゛ん゛だ゛よ゛お゛お゛!!」
しかし、しかし、ここまでの心の揺さぶりを与えられながらも、白鳥は努めて冷静であった。
「今、振り返ることは何の意味もないから」
目の前の手牌の最善を尽くすこと。それだけが今すべきこと。自己採点なんて明日すればいい。
そうしてあの手を、一気通貫ドラ1の待ちに仕上げた。
しかし、は山に1枚も残っていない。
白鳥「まだ。まだこの待ちではリーチにいけない」
白鳥「これだ!」
白鳥「ロン、8,000は8,600」
萩原から放たれたハイテイのを捕らえてのアガリ。
最終結果はハコ下の4着。しかし最善を追求し一矢報いた。
ABEMASサポーターの皆さま、どうか振り返らないで欲しい。
過去にあった+400ポイントも、あの輝かしい成績も、今はない。
今あるのは、残りの16試合をどう戦い、いかにしてFINAL STAGEに残るのか。それだけだ。
選手たちは反省すべきを反省し、明日だけを見ているはずだ。
振り返ってはいけない。振り返るべきではない。そこに未来はないのだから。
ROAD TO FINAL STAGE――
阿部柊太朗
最高位戦日本プロ麻雀協会所属。オンライン麻雀「天鳳」の牌譜機能を駆使した超緻密な観戦記が話題に。ブレイク間近の若手プロ雀士。
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