まず、
①『切る候補のとの危険度があまりにも高い』
ということだ。
滝沢はをポンしてを手出ししている。は確実に手牌に関連する牌だろう。
そして、ポンする前に園田が切ったと、2副露してから白鳥が切ったには反応がない。
このことからのポン時に、
やのから
を打ったケースが消えて、
からの切りと、
からの切りのケースが本線だと考えられるのだ。
(白鳥が1枚目のを切ったときにも滝沢は反応していないことからの線は少し薄くなるが、そのあととは手出し。あとからを引いたケースも十分に考えられる。)
2つの本線と考えた形のうち、はどちらのケースでも当たり牌となってしまう。また、からの場合はシャンポン待ちが残る可能性が高いので、そうなるともう片方のシャンポンの待ち候補としても危ないということになる。
さらしている部分がのポンとのチーということもあって、ほかの部分のソウズエリアにかかわってくると、ション牌のはどちらも切れないということと合わせての判断だろう。
そして、
②『通したとしても、アガリが見込める待ちではない』
こともあげられる。
が通ったら、残る待ちのパターンの多くに絡む、での出アガリがものすごくキツくなる。が通ってのも同じことだ。例えば、仮に自分が待ちで相手が先ほど挙げたような待ちだったら、自分が不利なのは火を見るより明らかだろう。
①、②を合わせて、
「通す牌がまず危険で、通してもアガリはかなり厳しい」
といえる状況なのだ。
さらに、
③点棒状況とチーム状況
も、迂回を後押しする。
点棒状況的には、この半荘、微差とはいえ現在トップ目だ。ここで3着目の滝沢の染め手に放銃してしまうと、2着どころか3着や4着に転落する恐れが出てくる。
しかも、ライバルであるトータル2位のEX風林火山を押し上げるのは、シリーズ制覇を考えても避けたいところだ。
論理的に考えるとそうだ。しかし、この親ッパネの手を崩したい人など誰もいない。「いかないほうがいい」わかってはいるが、テンパイを外すには激しい胸の痛みが伴う。
『自分の読みを信じろ…信じるんだ…!』
手の誘惑に負けないために、園田は自分自身に魔法をかけた。
そうか。先ほど園田が長考中に初めて見せた顔付きは、勝負手をオリなければならないことに対する苦悶の表情だったのだ。
このとき滝沢の手は、
とのシャンポン待ちだった…!園田がテンパイをとっていたら、間違いなく放銃していたのだ。
枚数の少ないアガリ牌を止められた滝沢はアガることが出来ず、この局は流局した。
苦しみと誘惑に打ち勝って、自分の読みを信じた園田の見事な当たり牌ビタ止めであった。
続く南3局も、
ここからを切ってタンヤオに向かう仕込みをして、
まずはポンから、仕掛け攻撃魔法発動!
続けてもポン。
ここは危険度で打を先に処理。
我々の目にはタンヤオだと見えているが、他家の目にはどう映っているだろうか。
ドラが字牌ので、ポン、ポンと2つ仕掛けられるとトイトイの線も消せなくなってしまう。このあたりが園田マジックの上手いところで、ナメられないように仕掛け方にも、もちろん注意を払っているのだ。実際このとき他の3人の手にはが1枚ずつ。他家の進行はグッと遅くなってしまった。
そして次巡、
あっという間にテンパイ。ここをかわし切れて1局消化出来ると大きい。
次の巡目に、場に良さような待ちに受け変えた。
しかし、これがなかなかアガれない。そして、
「リーチ」
ラス目の親番白鳥が、ション牌のドラを勢いよく横に曲げてリーチをかけてきた。
ここはABEMASとしても正念場。この親を簡単に落とすわけにはいかない。
2巡後、
園田が白鳥の当たり牌、を持ってくる。