【麻雀小説】中央線アンダードッグ 第2話:予感【長村大】

なんにも根拠はないが、嫌な予感がする。こんな日はたいてい──。

 

ところが次巡のツモが、アンカン。カンドラは乗らなかったが、リンシャン牌をツモってみると金が寝ていた。

裏ドラをめくると、カン裏表示牌に

リーヅモリンシャン金ドラ4、金は2000円なので倍満の6000円オール。

もちろん麻雀には、たらもればもありはしない。しかし目に見えるヘタを打ったあげくの最高の結果、ツイている。朝一のデカいトップが、もしかしたら今日の大勝の第一歩になるかも、との予感がよぎった──。

予感なんて、そんなもんだ。

 

 

いつも通り19時過ぎまで打ち、店を出て、駅方面へ歩を進める。財布の中身は5万円ほど減っている。良かったのは最初だけ、後半グズグズに崩れて、そこそこ大き目のガミを食った。

結局、最初の予感が正しかったわけだ。

だが勝っていれば二番目の予感が正しかったわけで、やはり、予感なんてそんなもん、なのである。

 

 

第3話(4月13日)に続く。

この小説は毎週土曜・水曜の0時に更新されます。

 

長村大
第11期麻雀最強位。1999年、当時流れ論が主流であった麻雀界に彗星のごとく現れ麻雀最強位になる。
最高位戦所属プロだったが現在はプロをやめている。著書に『真・デジタル』がある。
Twitterアカウントはこちら→@sand_pudding
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