Mリーグ2018ベストオブ【萩原聖人】〜21人のMリーガー名場面集〜




Mリーグ2018

ベストオブ【萩原聖人】

21人のMリーガー名場面集

文・アホ東大(院)生

 

千両役者・萩原聖人と

Mリーグの出会い別れ、そして、、、

 

昔々、あるところに日本有数の千両役者がいた。

麻雀においても名を馳せており、麻雀プロが束になっても勝てないほど、彼は強かったそうな。私が子供の頃から数多くのテレビ対局で優勝し、タイトルを総なめしていたらしい。

彼の麻雀スタイルは常に変わらず、鳴いての千点のアガリを拾う千点役者になることを嫌い、門前で高い手役を狙う門前高打点スタイル。芸能界最強と言われた彼の打ち筋は視聴者を魅了し、彼らの心を躍らせた。

ある日、麻雀界最高峰のリーグ、Mリーグが発足した。そして彼は、今から遡ること、約8ヶ月前にMリーグドラフト会議で1位指名された。彼が日本プロ麻雀連盟に、そのたった1ヶ月前。まさに電撃指名だ。

そういえば、彼の名前を言うのを忘れていた。彼の名は、

「萩原聖人」。雪原の求道者。

Mリーグ最序盤と最終盤の萩原に焦点を当てていく。

 

《Mリーグ開幕戦 東2局0本場》

バラバラの手牌をもらったTEAM雷電の千両役者。

そして、7巡目にこの手牌。

メンツ手、トイツ手のどちらも狙うことが可能だ。チートイツのイーシャンテンだが、手牌がタンヤオ牌で占領されている。私にはを切っておいて、鳴いてタンヤオのアガリが最短のように思えた。2枚切れのを離して、タンヤオとチートイツの両天秤はいかがだろうか。

萩原は、もちろん凡人の私とは違う活路を切り開く。2枚切れのを残して、切り。引きのメンツ手も見えるこの手で、萩原は縦方向の選択を選んだ。

次巡、を重ねて、チートイツのテンパイ。の選択。卓上をのぞいてみると、副露をいれているのは下家の小林のみで、自風ポン。小林の捨て牌にドラの関連牌がなく、打点、手牌構成も読みにくい。は小林の捨て牌に1枚あるのに対して、は場に出ておらず、ソウズの周りの情報は少ない。また、引きも考えられる。

これは、狙いの切りリーチだ!

と、思いきや、またしても萩原は違う活路を切り開いていく。切りの待ちリーチ。

実際には、は山に3枚、は残り1枚だった。園田、小林の手牌にはは使われていない

と踏んだのだろう。

千点役者で有名な小林だが、今回は、ドラドラの待ちで追いかけてくる。

 

その追従を躱すかの如く、萩原はラストの牌をツモりあげ、裏ドラも乗せて跳満に仕上げる。

か、かっこいい。萩原はアガるだけで絵になる。

パブリックビューイングもこの歓声。(音声はついていないため、画像の迫力からお楽しみください)

視聴者の記憶に刻まれる鮮やかな素晴らしいアガリを見せてくれた萩原だったが、開幕2試合は3位、4位に沈んだ。

 

《2018/10/08、2回戦目南3局0本場》

下の松本とは、4100点差、上の前原、小林とは20000点以上離されているが、ラス親がまだ残っている状況でこの手牌。

赤赤という恵まれた手牌であるため、なんとしてもアガリに結びつけ、オーラスに上位2人に喰らいつきたい状況だ。

しかし、目下のライバル、松本がをすぐさま鳴いていき、とかなり早そうな捨て牌。鳴いてタンヤオの仕掛けで松本を追いかけていきたい。

萩原はこの手牌から打とする。チートイツのリャンシャンテンという意識が強いのだろう。

しかし、この選択はマンズの周りのくっつきを全て犠牲にしているため、機動力は相当低い。赤なしではチートイツは相対的に強いと考えられる役だが、ライバルが鳴きを駆使して先を行く状況では、底なし沼に片足を突っ込む選択だ。萩原は今まで、泥沼に己の道を見つけ、起死回生の一撃で勝ち抜いてきたのだろうが、Mリーグでは周りの選手がそうさせてくれない。正確に言うなら、ルールが、か。

松本から打ち出されるもポンせず。萩原は深いところに潜っていく。

鳴きをこらえた萩原の手牌が成熟していくうちに、松本はのシャンポン待ちのテンパイ。すぐにトップ目、小林からが打ち出され、松本のアガリとなった。

最終局は松本が先制リーチ。萩原がを振り込み、苦汁をなめる思いの4位になった。

その後、萩原のMリーグ前半の試合を見返してみて一つ思った。赤牌なしのルールで、門前高打点のスタイルで勝ちまくってきた萩原が赤牌ありのMリーグルールについていけるのだろうか。赤ありのルールに萩原の打ち方がアジャストできていないんじゃないかと懐疑的に見てしまった。手役に対する嗅覚は人一倍優れているのだが、赤牌に対する嗅覚は他のMリーガー達に劣っているという印象だった。

当たり前のことだが、赤ありルールと赤なしルールでは、大きな相違点が複数ある。

まず、1つ目の相違点としては、数牌の価値が変わってくる。赤5に直接くっついて両面待ちをつくれる4や6は、赤ありルールの方が赤なしルールよりも相対的に価値が高くなる。また、赤なしルールでは、3や7といった数牌は、2や8とくっついて1-4待ちや6-9待ちといった端にかかる待ちを作れるため、4や6よりも優秀な孤立牌であると考えられるが、赤ありルールでは違う。後の変化などを考慮に入れると、結局人それぞれなのだが、共通認識として上記の違いが生まれる。

2つ目の相違点は、鳴きを入れた後の打点上昇だ。数牌のど真ん中の5は比較的、手牌に組み込みやすく、タンヤオとの相性がいい。5の受け入れさえ手牌にあれば、鳴いている状態でも打点上昇が見込める。そのため、赤なしの表ドラ1種類のルールに比べると、鳴いて前に出て行くことが有利になる局面が増えるのだ。周りの早い速度感に合わせていくのが赤なし以上に大事になってくる。

この2つの大きな相違点は、萩原は理解しているのだろうが、Mリーグ序盤は、体がこの赤牌について行けてないように感じた。客寄せパンダとしての起用なのではないかと実力を疑う声も(私周辺の至極小さなコミュニティ内で)あがっていた。

Mリーグが序盤から下位層にとどまり、チームポイントマイナスが続き、TEAM雷電の雲行きは徐々に怪しくなっていった。

しかし、雲行きが怪しいときにこそ落雷は訪れるもの。