先ほど述べたように、滝沢がテンパイしていた場合には岡田はノーテンだとこの半荘は滝沢のトップで終了してしまう。岡田としてはやすやすとトップを渡すわけにはいかないので、テンパイをするために多少冒険をするケースも出てくるのである。
15巡目、
滝沢はさすがにテンパイを組めなさそうだ。を合わせ打ちして手じまい。このまま流局すれば岡田のトップだ。
と、見ている我々は思うだろう。
だが、岡田だけは違う。
を引いてイーシャンテンになった岡田。
岡田の心の声「滝沢さんはテンパイしているかもしれない」
「私もテンパイをとらなきゃ」
「ロン」
無情にも、は朝倉のアガリ牌であった。リーチドラ裏、5200点。
岡田はこの表情。
冷静に分析すれば、
・岡田の欲しいカンは4枚切れ。現物であるも上家の滝沢からはそうそうおりてこない。また、を使おうと思うと超危険牌のを切らないといけないため、16巡目の今、テンパイを組むこと自体が難しいということ。
・滝沢の合わせ打ちは、それまでを抑えていたと読めて滝沢がテンパイしている可能性が低いこと。
これらの理由から、現物を打ってイーシャンテンをキープ出来る打がいいかと思うが、ここはを打った滝沢を誉めるべきであろう。
もう少しで手の届きそうだったMリーグ初トップは、滝沢が美しい手つきで奪っていった。
岡田は本日2着→2着。トップこそとれなかったものの、チームポイントに十分貢献した。
思えば、Mリーガーは山のようなものだ。遠くからみていると美しいが、近づけば近づくほど、その大きさに圧倒される。
新生Mリーガー岡田紗佳。今日は滝沢という大きな存在に負けてしまったが、吸収力の高い彼女のことだ、今日の悔しい経験を糧に先達の強さを模倣し、これからもっともっと強くなっていくに違いない。
試合後のショットがこちら。
まずはカタチから…?
そして近い将来、Mリーグ山にサクラの花が満開になる日が来る、そんな予感がする今日の岡田の闘いぶりであった。
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京大法学部卒の元塾講師。オンライン麻雀「天鳳」では全国ランキング1位。「雀魂」では4人打ち最高位の魂天に到達。最近は、YouTubeでの麻雀講義や実況プレイ、戦術note執筆、そして牌譜添削指導に力を入れている、麻雀界では知る人ぞ知る異才。「実戦でよく出る!読むだけで勝てる麻雀講義」の著者であり、元Mリーガー朝倉康心プロの実兄。x:@getawonarashite