見上げた先に見えたのは
数字では計れない感情の揺らめき
文・越野智紀【火曜担当ライター】2023年11月21日
第2回戦
東家:仲林圭(U-NEXT Pirates)
南家:鈴木たろう(赤坂ドリブンズ)
西家:松本吉弘(渋谷ABEMAS)
北家:中田花奈(BEAST Japanext)
初年度優勝チームである赤坂ドリブンズのロゴデザインは「DRIVENS」の文字を変形させたサイで作られ、芸術家・岡本太郎がデザインした近鉄バファローズのロゴデザインを彷彿とさせる非常にクールなものです。
固い皮膚と鋭い角でMリーグを暴れまわる獰猛なチームに今シーズン新加入した浅見選手が1戦目にトップを奪い、これで園田・太に続いて個人成績がプラスに浮上。
チームもプラス域に到達し、二度目の優勝へ向けて残すはドリブンズの芸術家・鈴木たろうの復活を待つのみとなっていました。
去年の12月13日以来、Mリーグでトップを取れていなかったたろう選手。
開局に満貫をアガって好スタートを切ると
次局もドラのを仕掛けてタンヤオで満貫のイーシャンテンと追加点を狙って攻め続けます。
この仕掛けを見て機嫌を損ねたのが上家の仲林選手。
チャンタを諦めて端牌の連打。
この絞りでたろう選手は足止めを喰らってしまいました。
たろう選手の手が届かない場所からを切りまくる松本選手と中田選手が順調に手を進めていき
薄いのダマテンから
変則3面待ちに変化した中田選手から先制リーチが入ります。
このまま最後まで進むと中田選手にハイテイが回ることもあり、仲林選手は「一発とハイテイを消してくれても構いませんよ」とを合わせ打ち。
が薄くなり直前に行われていた脳内会議ではをポンして筒子に雀頭を求めようと決定が出ていましたが、そのがリーチ宣言牌で出たことでポン案は一旦白紙に。
薄いが上家の仲林選手から出ることを期待する戦略に方針を変更。
ゼウスホールディングスCEOの決断力が光りました。
最初のチー以降全てをツモ切っていたたろう選手。
手出しをせずに上家からのアシストを待つ体勢を取りたいところでしたが、無筋でドラのは流石に厳しいと渋々切り。
すぐに松本選手からもリーチが入り、仲林選手は難しい決断を迫られます。
たろう選手からは手出しのがあり、前巡まではテンパイしていなかったことが発覚。
は二軒リーチの現物ですがは仲林選手の目から7枚見えていて、たろう選手にとって急所の可能性が高い牌です。
2枚切れでノーチャンスのは全員にほぼ通る牌でしたが、ツモ番がもう1回残っていた仲林選手は安全牌がもう1枚必要な状況。
ノーチャンスで1枚切れのは単騎やシャンポンでは待ち頃の牌なので安全牌とは言い切れず。
次巡3人の切った牌で安全牌が増えることも充分考えられるので、とりあえずを切るのが普通の選択に見えましたが
普通普通と言われていても、本当は普通ではない仲林選手。
たろう選手の切りの時の渋々の間でテンパイしていないと判断。
「松本さんの一発と中田さんのハイテイをどうぞ消してください」とを抜きました。
もちろんテンパイが入っていてをロンされても何の文句も言えないのですが、たろう選手はこれまで何度も戦ってきた相手。
テンパイ・ノーテンの雰囲気を間違えることはありませんでしたが、この判断が正しかったのか試合後も仲林選手は自問していました。