読み返してみると、この記事は12/4に書かれていて、当時の松本の成績は-236.1pt。全29人中29位と、すでにこの時から不振にあえいでいたのだ。それから2ヶ月近い時間が流れた今もなお、松本はトップから見放され、もがき続けている。
責任感が人一倍強く、そして他人に対して優しい性格の松本は、どれだけ苦しかったのだろう。どれだけ辛かったのだろう。
放銃直後の松本。心中は決して穏やかではなかったはずだ。
東2局、難しい松本の手牌。
あなたなら何を切るだろうか?
面子手を考えるなら打。
チートイを残すなら打。
あたりが候補に浮かんでくるか。
ここで場を見渡した松本の選んだの牌は、そのどちらでもなかった。
打。
朝倉と勝又の2者が一打目にを切っており、の重なりを強く見た選択だ。
また、やをツモってきたらメンツ手に復帰するルートも残されている。
この手の行方をもう少し見てみたかったが、すぐに他家にアガリが出た。
こうして迎えた松本の親番。
まずは朝倉がチートイツのドラタンキでリーチする。
そして同巡、松本も追いついた。
力強くを横に曲げる。リーチのみのだ。
朝倉の待ちも松本の待ちも山にいる。
松本はをアンカン!も、なかなかツモれない。
険しい表情の松本。
朝倉も気合を前面に押し出してツモりにいく
が、なかなかツモれない。
松本は盤面の一点をみつめ、朝倉の息を吐く音をマイクが拾う。
言ってしまえば、どこにでもあるような、ただのめくり合いである。
リーチをかけた2人ができることはもう無く、置かれているツモ牌をめくっていくだけだ。
しかし、なぜここまで気合が入るのだろう。
それはチームを背負っているからだ。
ABEMASもpiratesも、生き残りに向けての正念場である。
アガるのとアガられるのでは、未来は大きく変わってくる。
見る側も自然と力が入ってくる。
私としては、珍しくまったく打牌選択の解説のないまま、1局の紹介をしてしまった。
それにも関わらずこの局を紹介したかった理由は、両者の気迫が伝わってきたからだ。
牌に描かれている刻印によって運命が大きく変わる。
これが終盤戦だ。名刺交換はもう終わった。
ここからが、Mリーグだ。
この局は2人のアガリ牌が脇に流れ、流局となった。
南1局。
松本はこのを鳴かなかった。
ラス目としては、ギリギリまで門前でのリーチルートを残したかったのだろう。
そして形の良くなったこの場面で…
岡田から打たれた2枚目のをポンした。
せっかく我慢してイーシャンテンまで持ってきたので、もう少し欲張ってみたくなる気持ちは誰にでもある。しかし、高打点を狙うだけがラス目の最適解ではない。
不自然に高打点を狙い、これ以上の失点を増やすことなく、ピタッとくっついていくのも大事なことだ。
このあとすぐに朝倉が
ドラ内蔵のチートイツをテンパイし、そして親の勝又までもが
テンパイを入れていた。