守備だけでは
麻雀は勝てない!
巧みな攻守のバランスを
見せた鈴木達也、
前田直哉が決勝卓へ
【A卓】担当記者:東川亮 2020年7月26日(日)
前日に引き続き行われた麻雀最強戦、この日は「鉄壁のディフェンスマスター決戦」として、守備力に定評のある8人の雀士が参戦した。
歴代最強位3名が名を連ね、残る5名も実力者ばかり。
麻雀で勝つためにはどれだけ守備が必要なのか、この日の試合を見た方にはきっと分かっていただけることだろう。
本記事でお伝えするのは、A卓の激闘。
まずは出場した4選手をご紹介する。
「リーチ超人」村上淳。
キャッチフレーズからは攻撃的なスタイルがイメージされるが、決してやみくもにリーチを乱発するような打ち手ではない。
堅い守備で点棒を守り、ここぞの必殺リーチで決めにいくスタイルは必見だ。
「不器用なイケメン」大和。
昨年行われた「麻雀最強戦2019 サバイバルマッチ」を大逆転の四暗刻ツモなどで勝ち上がり、この舞台に名乗りを上げた。
超がつくほどの門前派が、この舞台でも一撃を決めるか。
「麻雀ファンタジスタ」鈴木達也。
見るものの想像を超える選択で数々のアガリをものにしてきた、麻雀界におけるスター選手の一人。
そのベースにある高い守備力を駆使し、ファイナル進出を狙う。
「大陸間弾道ミサイル打法」前田直哉。
物騒な異名は高打点を狙う打ち筋から付けられたものとのことだが、ミサイルの発射基地同様、彼にも攻撃を支える強固な守備力がある。
2015年の最強位が5年振りの戴冠を目指し、ここから発進する。
余談だが、この卓で出場する村上・達也・前田の3人は2018年の麻雀最強戦「男子プロ代表決定戦 攻撃の極」に出場している。
2年前は攻撃をテーマとした大会に出場し、今年は守備をテーマにした大会に出るというのは相反するようで面白いが、これは麻雀が攻撃だけ、守備だけでは勝てないことを示唆しているように感じる。
表裏一体の攻撃と守備、どちらも高いレベルを兼ね備えることで、一流の打ち手へと近づけるということなのだろう。
東家:村上 南家:達也 西家:前田 北家:大和
東1局。
村上は親で1メンツあるものの、どうにも時間がかかりそうな手だ。
アガリだけを見るならを鳴きたいところだが、3巡目に大和から打たれたに声をかけるようなことはしない。
鳴いたところでまだまだアガリは遠く、それでいて他者の攻撃に対する守備力を著しく落としてしまうからだ。
案の定、この局はわずか4巡で達也がリーチ、それなりにまとまった形の大和が一発で放銃。
達也が2600点を加点して局を進める。
東2局は、前田がこの形から1枚目のをスルーすると、有効牌を引き入れてトイツ落としに入る。
早い巡目で高い手への手変わりも見えるときは、安易に役牌を仕掛けるようなことはしない。
1枚切れの字牌のトイツは、守備の受け駒としては申し分ない性能もある。
このあたりの選択から、麻雀が攻防一体のゲームであることが分かるだろう。
11巡目、村上の手牌。
打でカン待ちのリーチを打てるが、さすがにこの待ちでは「リーチ超人」のお眼鏡にはかなわなかったようだ。
を打ち、テンパイを外す。
これなら文句なしの即リーチだ。