チームにプレゼントを渡す
サンタになるのは誰だ!?
卓上のサンタ争奪戦に
忍び寄るマムシの大毒
文・渡邉浩史郎【金曜担当ライター】2021年12月24日
クリスマスイブのMリーグ、二戦目も華のある選手が出そろった。
今年もこれでMリーグ納めか…… と思っていたが、なんと今年は27,28も試合がある。Mリーグから視聴者へのクリスマスプレゼントといったところか。
今日チームにトップを持ち帰ればまさに最高のクリスマスプレゼント。出場選手の中でだれがサンタクロースになれるか。サンタクロース決定戦の火ぶたが切られた。
【東1局】
開局手綱を握ったのは沢崎。ドラ表カンチャンの待ちを嫌ったら裏目となった形だが、ここはツモって跳満確定のフリテンリーチで圧をかける。
ここに聴牌で追いついたのが伊達。が沢崎に現物の待ち。どちらでアガってもイーペーコーがつくのでドラと合わせてマンガンの手だ。無筋のくらいはビシッと切っていく。
園田も赤赤のイーシャンテン。伊達の押しも気になるが、生牌のくらいは押しの手牌だ。
次巡、園田が引いてきたのは。一応沢崎に通っていない牌ではあるが……
ここはほぼノータイムのツモ切り。確かにかなり当たりにくい牌ではあるが、いかんせん自分はノーテン。弱気になってしまえば安全牌やで一旦回る選択も十分考えられるところだったが……
ご存じは伊達の当たり牌。自分の手形に加えて、伊達のノータイム無筋2連打も含めての選択だったか。
→と沢崎から出て3900のアガリ。ここはしっかりと粘った園田。跳満とマンガンを潰す価値あるアガリとなった。
【東2局】
この局も先制聴牌は沢崎。一旦カンの闇テンに構え……
次巡ツモ切りリーチ!!
このリーチ、ただのツモ切りリーチではない。
このリーチを受けた他家はまず沢崎の前巡の手出しを見る。手牌に関連しているとするならの形は結構ありそうだ。今回のケースでは安牌として持っていたケースが否定しにくいため断言できるほどではないが、ツモ切りリーチとの整合性も合わせてカンはやすやすと打てる牌ではなくなるだろう。
しかしここでマムシの毒が効いてくる。
Mリーグをご覧の皆さまならご存じであろう。沢崎は一手替わり三色といった手役が見える聴牌の場合、ピンフドラ一やタンピンドラといったいわゆる即リーチが鉄板の手牌でもあえて一巡回すのだ。良形のツモ切りリーチ率はMリーグでも圧倒的1位だろう。
他家からすればこのツモ切りリーチに良形の可能性が見えてくるだけでやりにくいことこの上ない。まさに蝮の毒牙むき出し、これまでの局と局を”線で結ぶ麻雀”の極致といったところだろう。
リーチを受けた親番園田、このイーシャンテンから粘る。相手はマムシ。どんな毒牙が潜んでいるが分かったものじゃないが、それでも親番このくらいは形で押す。
一方こちらは打点で粘りたい伊達。中筋が出ておかしくない浮き方をしているが……
ここは園田が通した。形的には当たりそうもないと行きたいところではあるが、ここはマムシのツモ切りリーチが切らせた現物といっていいだろう。着実に毒が卓上に浸透していく。
最後のカンを園田からチー出来てこの形。
これがこの半荘、伊達の敗着となってしまった局といっても過言ではないだろう。
は四枚見えでが通っているため、シャンポンと単騎にしか当たらないが沢崎の6巡目の打がそれらをほとんど否定している。
しかしこのを切らせなかったのもまたマムシの毒。まさに魅入られたように切った牌での5200放銃となってしまう。
【東3局】
園田がこの手牌からツモ切り。
単純に見ればドラの受け入れをロスする形だが、河を見るとソウズの下がかなり高い。ここはタンヤオでかわす手と考え、他家のリーチの前にを切れるメリットを買った形だ。
しかし引いてくるのは裏目の。かなり痛くはあるがこれも織り込み済みでの選択。河にドラを放たず打。
一方こちらは沢崎、を引いてきて打。打点こそあるが巡目も深くて愚形しか残ってないリャンシャンテン。ここはポン材を残しつつ、安牌二枚を抱える。後手を引かされてもいいように手を組んでいく。
そこに飛んでくるのは萩原のこの勝負手リーチ。