1月17日(火)の第2試合、東4局3本場であった出来事は記憶に残っている方も多いだろう。
そこへリーチをかけていたKADOKAWAサクラナイツ・渋川難波がを掴む。
しかしそれを、を切らずに回っていたセガサミーフェニックス・東城りおが頭ハネでロン。
渋川は親マン放銃を免れ、園田が悔しい思いをした一局である。
この局は園田がドラのポンから好牌を引き入れてうまくテンパイを果たし、
またそれにぶつける形で渋川も勝負手をリーチ、
ダントツだった東城も園田の上家でを止め切っての頭ハネという、非常に見応えのある攻防だった。
ただ、私はこのときこんなことを感じていた。
もしかすると、これは、
東城がアガれない方が──、ポイント的に面白くなっていたのではないだろうか?
このときの点棒状況は東家から、
園田賢 16900
渋川難波 16900
勝又健志 11900
東城りお 53300
である。園田と東城はセミファイナルボーダーであるサクラナイツを最終的にまくりたいため、
渋川の着順は少しでも落としておきたい。
渋川が親マンを打てばかなり厳しいラス目になっていたことになる。
もちろん競技麻雀のルールとして、同時にロンの発声があった場合は放銃者に近い者だけがアガれる。
そこで、「あ、園田さんロンですか? じゃあ私はやめときます」なんてことは当然できない。
また東城はトップが不確定であり、他家の親番を潰していくためこのアガリは至極自然である。
まだ東4局で、園田に連荘を許せば東城がまくられてしまう未来も十分ある。
そのが園田の当たり牌かどうかだってわからないし、まだ巡目があるので見逃して渋川にツモられでもしたら本末転倒だ。
ただこれが──、もっと半荘の終盤であり、自身のトップがまくられない点数、
そして園田の打点と待ちがかなり限定された状況であったなら。
たとえ頭ハネになる牌が出たとしても、意志を持って発声を飲み込み、渋川の放銃を目論むことはあるかもしれないのだ。
渋川にとってこの頭ハネは、早すぎた故に起こった幸甚だった。
東城が成した頭ハネを誰より喜んでいたのはサクラナイツであり、
今後はそれを許さない選択を、東城が持つこともあるだろう。
次は救わない、と──、そう意識する段階に入ってきているはずだ。
アガリ牌をアガらないといけないルールはなく、この先は身を削ってでも、サクラナイツを引きずり落とす選択が見られるかもしれない。
東城はこの試合をトップで終えたものの、渋川は2着。
どうだろう。
渋川があの親マンを打ってラスであったなら、さらに50ポイントくらいは変わっていた可能性もある。
そんな世界線を想像するのも視聴者としては興味深いことだと思う。
さてもう一つ、1月19日(木)の第1試合でも実は頭ハネに関わる面白いシーンがあった。
オーラス、渋川と東城がアガリ2着で競っている終盤。
渋川が仕掛けて789三色のテンパイをしている状況である。
追いついた東城はここから打。
とのシャンポン待ちに受けた。
そして渋川がをツモ切る。
目を覆いたくなるようなアガリ逃し。
確かに場に打たれるのであれば、三色に絡まないの方があり得るのかもしれない。
しかし、私はこの終盤なら東城の選択の方は悪くないと思う。
渋川の待ちはソーズの上だ。
東城は、渋川の待ちがペンであった場合に、頭ハネが出来る方を残したのである。
ダントツの東家が攻めた結果、を打たれることはある。その場合の2匹目のドジョウを狙ったというわけだ。