麻雀星人の研究レポート
文・渡邉浩史郎【月曜臨時ライター】2023年2月13日
第2試合
東家:高宮まり(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
南家:堀慎吾(KADOKAWAサクラナイツ)
西家:多井隆晴(渋谷ABEMAS)
北家:黒沢咲(TEAM RAIDEN / 雷電)
1.はじめに
近年、麻雀星人の地球での目撃報告が後を絶たない。
2023年2月14日0:00現在、グーグル検索では1,930,000件がヒットする。Twitterのトレンドに上がる頻度も増えてきた。
麻雀星人が地球を侵略せんと牙を剥いてきたことも記憶に新しいだろう。
結果、我々人類でも一部の人間は麻雀星人に対抗しうる力を持っていることが判明した。しかし一方で麻雀星人の強さを実感したのも事実。
麻雀星人のその強さの秘密について、かなり研究が進んでいるものの、未だ人類は発展途上の段階にある。
そこで本稿では2023年2月13日(月) 大和証券 Mリーグ サクラナイツvs麻雀格闘倶楽部vsABEMASvs雷電 二試合目に出場した麻雀星人の闘牌を元に、麻雀星人の強さを考察する。後学の参考になれば幸いである。
なお、前回2023年2月10日(金)の試合にておよそ三か月ぶりのラスを引いた際の研究論文を下記に紹介しておく。
https://kinmaweb.jp/archives/187864
2.東1局事例~字牌の持ち方・打ちどころ~
この局、麻雀星人の配牌は赤とドラあり、下の三色こそ見えるものの形としては愚形が目立つ。
一応ターツは足りているため、浮き牌にくっつけての強いターツ作りよりも守備力を高める選択として字牌を残す。
親の高宮のポンを受けて、高宮の現物を残して今通ったを切る。
配牌降りなら堀への安全牌を残して等を抜く選択もあるが、ここは変則手気味の高宮に今を通せるメリットを買った形。
放銃だけを罪とするならを先に切る選択もあるが、ここは現状の手牌では絞ったほうが得という判断を下した。
4枚目のを引いて、ほぼ完全撤退の切り。このは黒沢の切ったものを高宮が鳴いていないため、今なら比較的低リスクだ。
親の2副露目が入って、今度は親を見る番。親の現物を切る。
高宮の仕掛けはからのチー打。その前の切りと合わせて、変則的なターツ落としが見えるため、既に聴牌と見込む。麻雀星人のこの手牌からは万に一つも放銃できないだろう。
高宮の3副露、しかもWのポンが入り……
さらにはWを切った堀がドラまでも叩き切る。
ここまでくれば麻雀星人じゃなくてもわかる、ベタ降りの季節。二手三手先を見据えたベタ降り術が光った一局であった。
3.東2局事例~スピード判断~
この局は4巡目にドラ入り面子が完成している二向聴の手牌となった麻雀星人。
しかし7巡目、前巡切ったを引き戻したところでのペンチャンターツ落とし。足りていたブロック数を少なくした。
既に他家はや、といった中張牌が余ってきている。自身の手は急所のやが既に河に切られているため、現状の愚形ターツ、特に変化がなく安全でもないペンターツは攻めにも守りにも弱いという判断だろう。
また残した字牌がどちらも二枚切れというのも重要なポイント。
今回この卓には黒沢がいる。普段なら比較的安全な一枚切れの役牌が、安全ではないのだ。
自身と他者の相対的なスピード判断の鋭さと同卓者の人間分析で堅実に進めていく。
3.5.東3局~親番の扱い~
親番の麻雀星人がWをポンして目一杯の切り。
守備的には見えない一打だが、これは良形効率に加えて、全ての赤を問題なく手牌に残せる打点的側面もある。
また、トップを取りたい時の親番での麻雀星人は先制安手の遠い仕掛けを余り厭わない傾向にある。