昨日の友は、
今日の敵であっても
白雪レイドが
戦友(とも)に送る
去年残した忘れ物
ついに始まった神域リーグ2023。
昨年初の試みとして開かれた神域streamerリーグ、通称神域リーグは、大成功で幕を閉じ、今年も晴れて開催される運びとなった。
3月31日にドラフト会議が行われ、メンバーも一新。チームが1つ増えたことによってルールにも少し変更が加わった。
細かな部分は割愛するが、チームが5つになったことにより、セミファイナルとファイナルのシステムが導入された。
レギュラーシーズンを1位で終えることができたチームは、ジャンプアップする形でファイナル進出。
2位から5位のチームでセミファイナルを戦い、上位3チームがファイナルへ。9月8日に行われるファイナルで、優勝チームが決まる。
参加チームが5チームになった影響で、各節1チームだけ抜け番(出場しないチーム)が存在する。
開幕戦となった第1節は、ヘラクレスが抜け番。
第1試合は、各チームのドラフト1位選手が登場。
東家 白雪レイド (チームアキレス)
南家 歌衣メイカ (チームアトラス)
西家 天開司 (チームグラディウス)
北家 天宮こころ (チームゼウス)
選手全員が、この開幕に向けて準備をしてきた。
さあ、約半年に渡る、お祭りの始まりだ。
東1局
好配牌が入ったのは南家に座る歌衣メイカ。
歌衣は去年のMVP。最もプラスポイントを稼いだ選手。
攻撃的且つ高打点を仕上げる彼の打ち筋に、魅入られたファンはきっと多いはず。
今年もその存在感を遺憾なく発揮してくれるか。
しかしそこに食らいついたのは、グラディウスの一番槍、天開司。
ドラ3の勝負手が入っていた天開が、カンチーで発進。
天開にもこのドラフト1位指名対決、思うところがあるはずだ。
天開はグラディウスのドラフト1位指名だが、渋川難波監督は当初1位指名を歌衣メイカにしていたのだ。
結果的にはアトラスの村上淳監督が歌衣メイカを指名していたことにより、ドラフトルールの優先権で指名権を失った渋川監督が天開を指名、改めて1位指名となったわけだが。
歌衣に負けたくない。自分が1位指名で良かったと、監督に思って欲しい。
そんな願いは確かに天開の中にあっただろう。
白が出て迷わずポン。これで先制テンパイ。
ペンと待ちこそ悪いが、打点は満貫の8000点だ。
しかしここに追い付いたのが歌衣。
容赦なくリーチで追い立てる。こちらもリーチ赤と最低でも5200点からの高打点だ。
一転窮地に立たされる天開。それでも天開は「いや、俺はオリないよ」と自らを鼓舞すると、通っていないをプッシュ。
手牌に安全な牌などない。それに自分はドラ3の勝負手だ。
ここは真っ向から勝負。
神域リーグ2023開幕の花火を打ち上げたのは――
歌衣だった。
そして更にそこから、雷が落ちる。
「今回もMVPは、この俺え!」
一発ツモ裏3。
去年の勢いそのままに、神域リーグが生んだ最高の傾奇者が躍動する。
4000、8000の先制弾。
全ての視聴者と対局者を呑みこむような爆発的なアガリの中でしかし、1人の男は冷静だった。
親被りで8000点の失点となった、白雪だ。
「OK、いつものやつね」
そう、白雪は知っていた。
白雪と歌衣は去年のチームメイト。そして2人共がチームアトラスを頂点へと導いた優勝メンバー。