刹那の興奮!
Mを目指す矢島と
Mを去る丸山の
譲れない戦い
2023年6月15日C卓 文・ZERO / 沖中祐也
悪魔的企画っ…!!
あれはファイナルの余韻が残る、5月のとある日だった。
キンマwebの担当者から一通のラインが届く。
「Mトーナメントの観戦記をお願いできますか?」
オーケーオーケー。私に書けぬ観戦記などない! というわけで当日を迎えたのだが…
ふと思った。
Mトーナメントってなに?
これが調べれば調べるほど、悪魔的企画だということが分かった。
Mトーナメントとは、Mリーグ初となる冠大会で個人によるトーナメント戦。
現Mリーガー32人とプロ団体からの推薦者20人の計52人で争われる。
Mリーグの昨シーズンチャンピオンであるABEMASの4人はベスト16からのシード出場となる。
つい先日(6/12)始まったトーナメントは8月6日に行われる決勝まで続く予定で、Mリーグロスを埋めるに十分な期間となっている。
ポイントはMリーグ全選手に加え、団体推薦者の存在だ。
Mリーガーに憧れる在野武将たちが、Mリーグ会場で、Mリーグルールで、Mリーガーたちと覇を競う。
ドラフトが迫っているこの時期だけに、各企業へ何よりのアピールになるのは間違いない。
最短で2半荘の儚い戦いではあるが、彼らは全身全霊をかけて対局に臨むだろう。
必然とドラマが生まれ、感動を呼ぶ。
誰が考えたのか、この悪魔的企画っ…!!
私が担当したC卓のメンツがこちら。
挑戦者の位置にたたずむは、矢島亨。
堀の後、渋川の前に雀王をとったのに、なぜ俺がMリーガーになれない?
積年の歯がゆい想いを、Mリーグの卓にぶつける。
1半荘目
矢島の出だしは上々だった。
丸山とのリーチ対決を制し、8000点の出アガリを決めると、迎えた親番で
このバラバラの手牌からをポン。
高くて遠い手を得意とする矢島の十八番である。
相手を牽制してテンパイが取れればめっけもんだし…
ツモが噛み合えば決定打のチャンスを得られる!
この局は流局してしまったものの、自身の持ち味をアピールできたのではないか。
親が落ちた南1局1本場では
ドラのをポンしての2100/4100のツモ!
滝沢とのトップ争いになった。
さて、ここまで挑戦者の立場となる矢島の視点で見てきたが、もう一人注目せざるをえない選手がいる。
あれは3月17日の、レギュラーシーズン終盤でのこと。
「もしかしたら私にとってMリーグ最後の試合になるかもしれない」
そう言い残し、丸山は卓に向かった。
そしてトップをもぎとって帰ってきた。
その言葉は残念ながら現実のものとなり、丸山はドリブンズの退団がすでに決まっている。
再び与えられた、ドリブンズのユニホームを着て戦う、最後の対局。
そんな丸山は先制リーチを打つも矢島に追いつかれて放銃。
その後もチャンスらしいチャンスもなく、南2局には