オーラスの攻防!
鈴木優がたどり着いた
魂の1,000点
文・江崎しんのすけ【月曜担当ライター】2023年9月9日
第2試合
東家:堀慎吾(KADOKAWAサクラナイツ)
南家:鈴木優(U-NEXT Pirates)
西家:浅見真紀(赤坂ドリブンズ)
北家:菅原千瑛(BEAST Japanext)
Mリーグ2023レギュラーシーズン26試合目。
接戦のままオーラスに突入し、誰がトップをとってもおかしくない点況になっていた。
トップ目は道中3,000-6,000を決めた堀。
ただ他のアガリは無く、32,800点と安泰とは言えない点数。
2着目は優で、序盤に500-1,000をツモっただけでその他は殆ど出番が無かった。
アガリこそ無いものの、放銃も無くテンパイ料でジリジリと堀を追いかけている。
3着目の浅見は直前までトップだったが、親番でめくり合いからラス目の菅原に満貫を放銃し26,600点に。
堀までは6,200点差なのでまだ充分にトップは狙える。
そしてラス目の菅原は持ち点11,500点と一人離されているが、親番なのでまだ望みはある。
4,000オールで3着、6,000オールでトップまで突き抜ける。
他家が早アガリを目指す展開になると厳しいが、逆に先制リーチが打てれば押し返されにくい状況になるため勝算はある。
全員アガリが何としても欲しい状況だが、全員手が進まず、最初にテンパイが入ったのは14巡目だった。
テンパイを入れたのは優。を暗槓しており、を切れば役無しの47s待ちだ。
優の逆転条件は3,900点の出アガリか、800-1,600のツモ。
カンのおかげで、が無くともリーチしてツモれば逆転となる。
残り2回のツモ番に賭けてリーチかと思われたが、優の選択はダマテンだった。
ダマテンではもちろん出アガリはできないし、仮にツモったとしても点数が足りず逆転できない。
一見トップを狙っていない選択のようにも見えるが、よく見てみるとトップを見据えた非常に繊細な一打だということがわかる。
まず、優はアガらなくともトップになるルートがある。
それはテンパイ料だ。
堀との点差は3,700点なので、優の一人テンパイで流局終了した場合のみ優はトップになる。
優は少考し、他家はまだテンパイしていない可能性の方が高いと読んだ。
まず親番の菅原は、点数状況と他家を牽制するためにも、テンパイしたらリーチしてくる可能性が高い。
実際は七対子のイーシャンテンと苦しい手形だった。
そして浅見はドラのが見えている状況で堀との点差6,200点を捲る必要があり、優の目からは赤も2枚見えているため、打点を作るためにこちらもテンパイしたらリーチしてきそうだ。
実際は赤一枚のイーシャンテン。読み通りテンパイしたらリーチしていただろう。
そして堀だが、を両面でチーして安全牌の発が出たところ。
チーでテンパイした可能性もありそうだが、目一杯に構えていなかった所からまだテンパイしていない可能性も充分にある。
こちらもイーシャンテン。形式テンパイに向け発進したところだった。
優のはが4枚見えており見た目枚数で残り4枚。
この4枚を引くよりも、他家にテンパイが入らず流局してトップになる道を選んだのだ。
また、菅原・浅見がノーテンっぽいため、浅見が菅原にテンパイを入れさせようと鳴かれそうな牌を切ってくるかもしれない。
仮に菅原がそれをチーしたとするとハイテイが優に回り、リーチをしなくともツモ逆転ができるルートもある(優がリーチをかけると、浅見がアシストしにくくなるためハイテイも回ってこなくなるだろう)