麻雀星人・多井隆晴が紡ぎ出した 至極の1牌【Mリーグ2023-24観戦記 10/10】担当記者 ZERO / 沖中祐也

麻雀星人・
多井隆晴が紡ぎ出した
至極の1牌

文・ZERO / 沖中祐也【火曜担当ライター】2023年10月10日

「それでは各選手の配牌から見ていきましょう」
という松嶋の穏やかな実況からZERO秒で見せ場がやってきた。

松嶋「天和チャンス!天和チャンス!」
村上「あーちょちょちょちょちょ!」

親の東城が配牌を並べ替えると、なんとテンパイしていたのだ!
しっかりとカメラにテンパイしていることを伝えてから、ゆっくりと手を伸ばす東城。
いきなりの天和なるか?!

ならじ。
興奮のるつぼと化している解説席に対し、東城はこう思っていたという。

(これツモってたら「やらせ」と思われないかな)

たしかに、東一局の配牌に限りABEMA側が仕込むことができる。
もちろん麻雀のリアルな魅力を伝えるMリーグがそんなことをするわけがなく、開始前に複数のスタッフによる洗牌(シーパイ=牌を手で混ぜること)の後、牌を落としてセットしており、それは場内のカメラに証拠としてしっかり映っているはずだ。

でも可能性はZEROじゃない。
天和をツモった瞬間に「テッテレー!」と奥から村上が例の看板を持って出てくるかもしれない。
その可能性をケアする必要があるくらいには4人麻雀における天和の確率は低いのである。(およそ33万分の1)

波乱を予感させる幕開けだが、その予感は現実のものとなる。

第1回戦


東家:東城りお
セガサミーフェニックス

南家:瀬戸熊直樹
TEAM雷電

西家:多井隆晴
渋谷ABEMAS

北家:滝沢和典
KONAMI麻雀格闘倶楽部

実況:松嶋桃
解説:村上淳

ダブリーになるとはいえ、自分がシュンツとして使っている【3ソウ】【8マン】単騎ではリーチが打ちづらいということで【8マン】を縦に置く。

【8マン】を残しておくと、【6マン】をツモったときに【2マン】【5マン】【8マン】に受けられるというわずかながらのメリットがあるが、単純にドラそばの【8マン】を処理しておきたかったか。

すぐに【4ソウ】をツモってノベタン【1ソウ】【4ソウ】でリーチ。

一発でツモって4000オールの開幕ダッシュを決めた。

ちゃんと混ぜといてくれよ~という表情の多井。(混ぜてます)

東3局、その多井の親番だった。

【7ソウ】をツモってチートイツイーシャンテンにもとれる形だ。
捨て牌を見ると【1ピン】を切っている人が2人いて、ほんのりピンズの下がよく見える。

そこで多井は【1ピン】を切ってチートイツにスイッチ。

ビンゴ!
捨て牌がチートイツっぽくなる前にテンパイした。
【6ソウ】を切ってダマテンに構える。

次に【6ピン】をツモってくる。【3ピン】待ちが筋になり、リーチを打ちたいところだが、ツモ切りリーチするといろいろ勘ぐられてしまう。
ということで【6ピン】を切ってダマテン続行。

その【6ピン】にポンの声をかけたのが東城。

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