8局の電撃戦を数字で語る
止まらない本田朋広の
ポジティブループ
文・ZERO / 沖中祐也 【火曜担当ライター】2023年1月31日
東1局、6巡目に日向の打ったピンフ・ドラ4のハネマン確定リーチがアガれるのとアガれないのとで、この半荘の展開が大きく変わる。
アガることができれば大物手が飛び交う乱打戦になりやすく、安手でかわされたり流局したら僅差を争うシビアな戦いになりやすい。
これはオカルトでもなんでもなく、大物手によって点差がつくと逆転するために他3者は自然と高打点を狙うようになり、逆に僅差だとアガリ自体の価値が高まるため安い仕掛けが誘発され、ますます僅差の展開になりやすいのである。
さて、リーチを受けた3人は手を崩し、日向がツモれるかどうかだけの一局になった。
流局までツモれたとして、6巡目リャンメンリーチのツモアガリ確率は約60%。
乱打戦になるか、シビア戦になるか… 運命の振り子は
後者に傾いた。
(最終手番で堀がテンパイを入れている)
電撃スプリント戦の幕開けである。
第1試合
東家:チーム雷電 本田朋広
南家:KADOKAWAサクラナイツ 堀慎吾
西家:渋谷ABEMAS 日向藍子
北家:EX風林火山 松ヶ瀬隆弥
なお6巡目ダマ5ハンのリーチ判断だが福地誠・みーにん共著による「統計で勝つ麻雀」によると、
5ハンダマ → 6985点
6ハンリーチ→ 7747点
(局収支)
となっており、リーチが有利となっている。
このような統計データをまるまる鵜呑みのするのは危険だが、そこそこの差がついているので日向のリーチ判断は正しかったと言えるのではないだろうか。
東2局、今度は松ヶ瀬が高目タンピン三色をダマテンに構えると…
安目ので1000は1300点のアガリ。
もったいないと感じる人もいるかもしれない。
それこそ統計学で言ったらリーチの一手なのだろう。
しかし、捨て牌をよく見てほしい。
① が3枚打たれている。
さらに ② 親の堀の捨て牌にがあり、堀はをツモ切るだろうし、堀からリーチが入ったらの出アガリに期待できる。
そしてもう1つ③ 松ヶ瀬自身の1打目にが置かれていて、リーチを打てばが打たれやすくなる一方ではいわゆる間四間(あいだよんけん)となっており、相当危険に見える。
①②③を総合すると、リーチとダマでの出現率が大きく変わる。
このように中盤をすぎると取得するべき要素が大量に増え、似たような局面のサンプルを集めるのが難しくなり、統計結果を出せなくなる。
なお見逃してでのアガリを狙う手もあるが、深い巡目と下家から打たれたこと(同巡に対面か上家にを切られたらロンアガリできない)を考えるとロンが無難だろう。
「供託と積み棒もあるし」と松ヶ瀬は語る。
冒頭で語った通り、小場が小場を誘う展開へと導かれていくのだった。
東3局。
今更だが、この対局は好調者が揃った。(スコアが全員プラスであり、合計すると771.1ptという数字になる。)
その中でも個人1位と輝かしい成績を残しているのが
世界のトモヒロ・ホンダである。
昨年の苦悩はなんだったんだという活躍ぶりだが、7巡目その本田にテンパイが入った。
のシャンポン待ちだがが1枚打たれている。
この形、をツモったらピンフ高目イーペーコーになるし、マンズのという形はリャンメンを作りやすい中ぶくれ形である。
でも、その2つの手変わりを同時に待つ打牌は存在しないのだ。
というわけで…