熱論!Mリーグ【Fri】
変幻自在の鳴きで
卓上を駆けるマジシャン
その名は園田賢!
文・真中彰司【遊軍ライター】2018年11月2日
ポンやチー、カン。「鳴き」と総称されるこれらの行為は麻雀において欠かせないものである。同時に、非常に扱いの難しいものでもある。
鳴きのメリットは、他家の捨て牌を使えるため速度が上がるということである。しかしその反面、手牌を短くするため、守備力は落ちる。また、打点も面前の場合より安くなるため、押し引きが難しくなる。
視聴者の中にも鳴きが苦手、という人は少なくないのではないだろうか。
というわけで、今回は鳴きの少ないプレイヤーと鳴きを多用するプレイヤーが同居するチーム、赤坂ドリブンズに注目してみたい。
【第1戦】
ここまで8戦打って+27.3ptと、安定した戦いぶりを見せている。
村上といえば、リーチ時の発声である「りっち」でコメント欄が埋まるほど、リーチでお馴染みのプレイヤーだ。
それと同時に、副露率が低い、ほとんど鳴かないプレイヤーとしても知られている。
実際、この日までの副露率は13.86%で、全体では下から2番目の20位である。
この日の1戦目でも、東4局までは全く鳴かない打ち回し。
他家に先行される展開が続いたが、自身が戦える手牌じゃない時はしっかり守備に回り、無駄な放銃をしない。これも村上の麻雀である。
やっと出番が訪れたのは南1局1本場。
苦しいペンを引き入れて、ピンフ・ドラ1の待ちテンパイ。
「りっち!」村上の元気な声が対局室に響き渡った。
このリーチに困ったのがセガサミー・近藤。
自身の手にドラが対子で、しかも村上に対する安全牌が無い。
真っ直ぐ手を進めようと打ち出されたを捉えて8000のアガリ。
続く南2局でも村上が果敢に攻める。
巡目は深いが、赤ドラとドラがあるため打点は十分。
1枚切れのを狙ってリーチに踏み切った。
このリーチは上がれずに流局したが、親の近藤を降ろすことに成功した。
このように相手の手を止めることができるのも、リーチのメリットである。
と、ここまでは村上らしい麻雀だと思われたのだが、驚いたのは南3局。
この手牌からを打ち出し、更に亜樹の打ったをポン。
七対子とタンヤオとの両天秤でを打っていく手筋もあるだけに、この選択には少々驚いた。
おそらくラス目である石橋の親を早く流したいことと、をポンすればもポンしやすくなることを考えての仕掛けだろう。
狙い通りもポンしてすぐにのテンパイ。
石橋の親を流すことに成功した。
結果、この半荘は亜樹を捲り切れずに2着だった。
しかし、以上の3局が示す通り、決め手をしっかりとリーチして、鳴きは必要最小限に抑える。そんな村上の堅実な打ち回しが光る半荘となった。
それでは次に、鳴きを多用するプレイヤーの麻雀を見てみよう。
【第2戦】
ここまでの成績は8戦を終えて31.4ptとまずまず。
副露率は全体4位の28.42%である。
園田の持ち味は予想外の鳴きから繰り出される「園田マジック」
微差のラス目で迎えた東4局。
ドラのとが対子で、が鳴ければ役は出来るが、その他のメンツが苦しいという配牌。一見アガリは遠そうに見えたが…
ここからをポンしてを打っていく。
これはただアガリに近づくためのポンではない。
オタ風をポンすることで他家の出方を伺う、いわば牽制の意味もある。
更にをチーして、場に2枚切れのを打ち出す。
いかにもマンズのホンイツで字牌が余ったような河だ。