ネット麻雀じゃ
何でも出たかもしれないが
この舞台じゃそういかねぇぜ
天鳳位に襲いかかったMの刃とは
文・ZERO / 沖中祐也【火曜担当ライター】2023年10月24日
俺たちの総大将
6742706人。
これはオンライン麻雀天鳳の累計登録ID数である。
(日々更新されている)
その頂点である天鳳位に3度たどり着いた渡辺太は、晴れてMリーガーとなった。
もしこれが並の強者なら「なんであいつが…」「俺が選ばれるべきだ」「なぁにがシンギュラリティじゃ」などと嫉妬や批判の声が巻き上がったのかもしれない。
なぜなら天鳳は「俺が一番強い」と思っている打ち手がたくさん集まっているからこその魅力があるからだ。
公表しているだけでも何百人ものプロが在野の強者たちと共に、覇権を争っている。
渡辺はその圧倒的な成績で、全ての声を黙らせた。
嫉妬や批判の声を聞いたことがない。
ふとっしーなら文句ねぇ。
むしろどこまでやれるか見てみたい。
頼んだぜ、俺たちの総大将。
第1回戦
天鳳位包囲網が敷かれる
東1局。
岡田はここからを切った。↓
ピンフのイーシャンテンでを切らなかったのだ。
また、松本はここからを切った。↓
全ては渡辺の仕掛けを警戒してものである。
渡辺(上家)の捨て牌に注目して欲しい。
をポンし、との対子落としをしている。
通常、を鳴くような副露手は、ポンをしやすいように対子を大切にするものだ。
ではこの捨て牌を受けてどう読むかというと、ドラや赤などのもっと大事な対子があるか、マンズのホンイツが本線と考える。
いずれにせよが出てきているのでもうテンパイ濃厚に見え、安手のイーシャンテンで危険牌を打ち出すリスクは高い…そのように岡田と松本は判断したのである。
もちろん天鳳位とか関係なく、誰が相手であっても仕掛けと手牌の兼ね合いで回っていたのかもしれない。
でも私には二人の声が聞こえるようだった。
--そんな簡単には勝たせない。
--ネットじゃ何でも出たかもしれないが、この舞台は違うぜ。
筆者の勝手な妄想ではあるものの、こういう意地の張り合いが面白いではないか。
BEAST Japanextの鈴木大介に対し、麻雀プロたちがこの人だけには勝たれたくないと色めきだった。
Mリーグも6年目に突入し、そろそろマンネリ化しそう…というタイミングでとんでもない異物が混入し、この上にない刺激になっている。
それは鈴木大介だけではなく、アイドルの中田花奈、そして天鳳位であり医師だったり東大出身だったりする渡辺太が話題を生んでいるのだ。
遠い星からやってきたベジータやナッパに対し、これまでずっと見てきた悟空やピッコロたちがどう戦うか、を見届けるのが最高に面白いのだ。
そういう意味では新陳代謝は必須なのかもしれない。