不死鳥を託された男
醍醐大が放った
「唯一無二の先切り」
文・ゆうせー【木曜担当ライター】2024年2月8日
第1試合
東家:瑞原明奈(U-NEXT Pirates)
南家:勝又健志(EX風林火山)
西家:醍醐大(セガサミーフェニックス)
北家:瀬戸熊直樹(TEAM RAIDEN / 雷電)
セガサミーフェニックスに今季から加入した、
「先切り十段」醍醐大。
先打ちが得意なベテランプロと聞くと、アガリまでの道筋を序盤からガッツリ決めてかかるような、
「点ではなく線で打つタイプ」
と思われがちだ。
しかし、醍醐大は真逆のプレイヤーである。
それが如実に表れたのは、東4局。
まず、
醍醐はここから、
をツモ切った。
先切りは、枚数損と引き換えに「上手くいったときのリターン」をとりに行く打ち方だ。
枚数損が少なければ少ないほど、また決め打った部分が強ければ強いほど、効果は上がる。
この局面はどうだろうか。
ここでは、瑞原が第一打にを切っており、自体が残り1枚。枚数損は少ないと言えよう。
さらに、瑞原はを鳴いてソウズのホンイツ模様だ。醍醐が決め打った–は持っていないだろう。
また、上家の勝又がからの切り出しをしているので、マンズの下の良さが際立っている。
ターツは
「最後にこの部分が残ったら強い」
と、言えよう。
もちろん、絵合わせ的な牌効率に背いているので、ロスがないわけではない。例えば、先にを引いたときには、トイツがだけになって、のポンテンが効かなくなる。
それも踏まえて、醍醐は「勝負」しているのである。
瑞原が染めているソウズを先に引きにくい、というのもあろうが、基本的に先切りは「リスクは承知の上で、自分が見たリターンを追い求める」という勝負打牌なのだ。
進めていこう。このあと、
瑞原はさらにをポン。副露数に伴って、迫力も増していく。
醍醐がツモってきたのは、
今瑞原が切ったであった。
衝撃の打牌まで、あと1秒。
醍醐は、
なんとを切った!!!
これはいわば「守備的な先切り」だ。
立体図を見てみよう。
ホンイツ濃厚の瑞原は2副露をしているが、まだ数牌が余ってきていない。
さらに、持っている孤立字牌の候補としては、ドラのと役牌の、オタ風のと3種がある。
つまり、まだ数牌を切る段階に来ていないだけでなく、孤立字牌を抱えているパターンも多く残っているため、「瑞原はまだテンパイしていない可能性が高い」と読めるのである。
そして、今ソウズを逃がしてしまわなければ、このあとで打つのはリスクが大きい。
よって、かを切るわけだが、