王者の窮地
救えるか松本吉弘
再びあの地へ、望みを繋げ
文・後藤哲冶【木曜担当ライター】2024年4月25日
昨年王者が窮地に立たされていた。
渋谷ABEMASの現状は、かなり苦しくなっている。
セミファイナルシリーズは、今日を含め残り4日。残された試合数は8回。
そして臨んだ本日の第1試合。エース多井隆晴はトップにギリギリまで迫ったものの、2着。
プラスポイントにはなったが、これではまだ状況が好転したとまでは言えない。
そんな状況の中、登板するのは松本吉弘。
プレーオフ終盤戦の独特な緊張感の中を、渋谷ABEMASの若武者が歩いて行く。
4月25日 第2試合
東家 松本吉弘 (渋谷ABEMAS)
南家 渋川難波 (KADOKAWAサクラナイツ)
西家 伊達朱里紗(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
北家 小林剛 (U-NEXT Pirates)
東1局
東家に座った者は、東1局に親番が訪れる。
それは対局開始と同時に、いきなり勝負所が訪れるということだ。
2巡目にチートイツイーシャンテンに辿り着いていた松本は、を引き入れて選択。
ここはを切った。
チートイツイーシャンテンは崩さず、ドラのやを引いた時にメンツ手に戻る余地を残す。
切りからなのも丁寧だ。赤が入っているこのルールで、チートイツを狙う時は――
この赤引きは逃せない。
前巡持ってきたとの比較で、渋川のツモ切りがある分保有率が少しだけ上がっており、の方を残したのも見事だ。
チートイツ赤赤の9600高打点テンパイ。単騎に受けて、ダマテンとした。
このを引いてきて、と入れ替える。
1枚切れの字牌は、他者にとっても使い辛く、待ちごろの牌だ。
しかしこの切りを見て、他者も敏感に気配を察知する。
手出しが入るまでドラのを切っていた渋川が、ここで手形を崩す打。
松本がチートイツのダマテンを入れていてもおかしくないと感じ取った。
西家に座る伊達も冷静に手牌を崩した。
2枚切れているの対子落とし。
守備力の高い周りに阻まれ、このチートイツ赤赤は実らない。
1人テンパイで流局。
字牌待ちになってもダマテンを貫いたほどだ。
この9600は相当アガリたかったはず。
重苦しい空気が、松本の肩にのしかかった。
東1局1本場
先制リーチは、パイレーツ小林から。
前巡様々な選択があったが、見事切りからの変化をとらえて、待ちのリーチに辿り着いた。
そこに追いかけリーチを被せたのが伊達だった。
絶好のカン引きは文句なし。自分目線が全て見えていて、リーチ宣言牌のは先制リーチの小林に通っている。
まさに、おあつらえ向きという言葉が似合う状況だ。