80000点の順位点を巡る接戦の攻防
~一打で状況ががらりと変わる世界~
文・髙倉拓馬【火曜担当ライター】2024年9月24日
第2試合
西家:岡田紗佳 (KADOKAWAサクラナイツ)
北家:鈴木優(U-NEXT Pirates)
Mリーグルール。
25000点持ち30000点返し、順位点が1位から順番に+50、+10、△10、△30pt。1位から4位までの順位点の差は80000点。仮に4位からトップまで浮上すれば、それはダブル役満のアガリよりも大きい価値になる。トップが欲しくてたまらないルールだが、2着順ダウンをする放銃は痛い。
9月24日、この日の第2試合、南3局の点数状況がこうで
オーラスの点数状況がこちら。
1位の勝又から4位の岡田までの点差は3500点。全員が何着にでもなり得る展開。
80000点という大きな順位点を巡って、激闘が繰り広げられた。
接戦というものはおおよそ2つの発生パターンがある。
一つはいわゆる「小場」。全員が小さなあがりを繰り返し、点差があまり広がらないままオーラスまで突入する展開。
そしてもう一つが今回起きた「全員が高打点をあがる乱打戦」。
勝又、
菅原、
そして岡田が東場でそれぞれ満貫をあがり、
優が一人取り残されたかと思えば、
優も南2局で跳満をツモ。
今期初登板、昨シーズンではMVPの鈴木優。2年連続のMVP、三冠王を狙うと力強く語っていた。3人のアガリを黙って見ているわけにはいかない。
これで全員が満貫以上の高打点を1回あがり、全員が20000点台の僅差で先ほどの南3局を迎えることになる。
南3局
僅差で半荘の終盤を迎えると、アガリ1回の価値が非常に大きくなる。
残り2局しかない中で、少しでも相手より上に行くこと、出し抜かれないように少しでもアガって食らいつくこと、これが非常に大きい。
例えばここから岡田の打。
東場であればホンイツ一直線で1枚切れのすら残す選択肢もあるが、この場面ではのみ1ハンのあがりすら大きい。カン埋まりや、チーする可能性も見たい。
この菅原のフォーメーションも、南3局トップ目の立ち回りらしい。
安全牌を残したいし、全力で役をつけにいき、リーチ棒を出す事も避けたい。
役牌を2種残し、を重ねることに成功した。
ここからの打も、トップ目の南3局の選択として面白い。
確かに打としてカン、ドラ3の8000点をアガればかなりトップ率が上がるが、はドラ表示牌であり待ちとのアガリ率は大差。2000点という小さな得点でもこの状況での価値は絶大。局消化でき、2着以上になる可能性がかなり高くなる。
菅原が打ったこのに、岡田が反応。
菅原はすでにを押していて、そこにかなり危険なを引いてくる。
押して放銃はラス落ちの可能性あり。80000点分の失点になりうるが、黙って見ていても着が落ちる可能性はかなり高い。アガればトップ率は上昇するし、の勝算は充分ある。
菅原はこのを押し切った。