「I’m OK!」
〜多井隆晴、
危険水深からの生還
文・千嶋辰治【金曜担当ライター】2024年11月1日
誰が言ったか、チームポイントが一度でも▲300を超えるとセミファイナルに勝ち上がれない、というデータがあるらしい。
このスコアをプラスにするためには30,000点のトップ6回分が必要。
シャーレを掲げることを目標に戦っている身からすれば、確かに気が遠くなるスコアではある。
ところで、皆さんは「ジャック・マイヨール」という方をご存じだろうか?
1988年に公開された「グラン・ブルー」という映画のモデルとなったフリーダイビングの天才である。
彼は、1976年に人類で初めて無酸素で100メートルの深さへ潜り、生還。
自己最深記録は、彼が55歳の時に記録した105メートル。
彼が親日家であったことも手伝って、当時、日本でも大きく報じられたと記憶している。
フリーダイビングの難しいところは、水面まで戻ってきて、「I’m OK!」と口にして初めて記録が成立するところ。
人命に関わるような無理を防ぐために、水面で意識がはっきりしていることをアピールしなくては記録として成立しないのだ。
今日の多井隆晴の戦いぶりを観ていて、昔観た「グラン・ブルー」を思い出した。
データとしてはもはや限界値を超えたマイナス。
そのデッドラインに触れた多井は、深い海の中でもがく。
第2試合
東家:滝沢和典(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
南家:二階堂亜樹(EX風林火山)
西家:多井隆晴(渋谷ABEMAS)
北家:小林剛(U-NEXT Pirates)
序盤のゲームを優位に進めたのは滝沢。
東2局1本場、ドラは。
6巡目、役牌のを暗刻にしてイーシャンテン。
巡目はまだ浅く、ホンイツ、あるいは四暗刻など夢も見たくなる手牌。
しかし、この手が中々テンパイしない。
中盤、親の亜樹がドラを重ねてこのイーシャンテン。
そして、小林からこぼれたをポンしてテンパイ。
弩級のテンパイが入ったタイミングで、滝沢の手にドラが流れてきた。
滝沢、これを場況良しと見てリーチ。
さらに一発ツモ。
滝沢、まずは亜樹との高打点対決を制してまずはリード。
迎えた南1局、ドラは。
この局がゲームの分水嶺となった。
まずは、親の滝沢の配牌。
赤2枚がいずれも使えそうで、アガればこのゲームの決定打になりそう。
そして、軽い手をもらったのが多井。
ソーズのドラ入り3面張受け、第1ツモでピンズのメンツができてスピード、打点ともに申し分なし。
この二人の手がぶつかりそうだ。
5巡目、
多井はこのイーシャンテンからを放った。
この時から、滝沢は多井をケアする意識があったのだという。
詳細はABEMAプレミアムの対局舞台裏で本人が語っているのでそちらをご覧いただきたいが、