MVP街道をひた走る
醍醐大は先切り、絞り自由自在
文・高倉拓馬【火曜担当ライター】2024年11月12日
今シーズン絶好調のセガサミーフェニックス。
その中でも、醍醐大の活躍がひときわ目立っている。
醍醐は前回の登板でこそ3着を引いたものの、ここまで8連続連対、5トップで個人成績首位。デビューとなった昨シーズンの憂さを晴らすかのように、MVP街道をひた走っている。
ここ最近、フェニックスのファンの方からこんな声を聞いてきた。
「現在チーム順位がトップであることがとても嬉しい。なんとしてでもこのまま勝ってほしい。」
11/12の第2試合は最高位戦日本プロ麻雀協会に所属する4人での戦い。何度も戦ってきた選手3人に対し、ファンの期待に応えるべく今日も醍醐が躍動する。
第2試合
東家:醍醐大(セガサミーフェニックス)
北家:瑞原明奈(U-NEXT Pirates)
まずはいきなりだが、決定打になった東1局1本場からご覧いただこう。
醍醐の配牌。
ドラ0だがかなり形が整っている。ここから皆さんは何を切るだろうか?
醍醐はここから打とした。
牌効率的には打として最速のテンパイとまわりの変化を追うか、打として678の三色を見る一手。
だがそのいずれもあまり打点が見込めない。ここはタンヤオを主眼に置きながら、まわりもまわりも逃さない選択を取った。
では打と打の差は何か。
このペンチャン受けはあまり機能していなさそうだが、を2枚払っている内にどこかが重なって頭になった瞬間にがペンチャン+対子の強い形として機能する。
打とすると面子の受け入れが増える強さはあるが、あまり打点に寄与しない。そして何より
「次の有効牌ツモで打になりやすく、結局とのシャンポン受けが消えてしまう」
のが痛手。
これは個人的な感想だが、
「次に有効牌を引いてきたときに打たれていってしまう可能性が高いターツは、先に打ってしまって手牌のスペースを作り、強い形を先に作る方が良い」
という考え方を、強者が皆揃って使っている印象がある。
私が先週担当した観戦記でも、勝又がこの戦術を利用していたし、堀の牌譜検討でも同様の場面があった。
これがトッププロのセオリーになっている。
狙い通りタンヤオまで伸び、3メンチャン、高めは三色のテンパイでリーチ。
タンヤオ赤2のテンパイを入れていた瑞原がを勝負するが、
これが高目で醍醐のアガリ。裏も乗って18000点になり、この半荘はリードを守り切ってトップを取った。
…のだが、醍醐の面白さをこの局だけで語ることは出来ない。
「先切り十段」と呼ばれている醍醐だが、実はこの半荘では
「絞り」も多用していたのである。
この自由自在な「先切り」と「絞り」の使い分けを、ぜひご覧いただきたい。
東1局
を先切りする醍醐。これは3メンチャンにフォローを残すよりも、カンとカンを両方残すことでテンパイ時のリャンメン率を上げようという打牌。
醍醐はこの「テンパイ時のリャンメン率」をかなり重視している印象がある。
だがここではタンヤオやピンフの変化となるを打ち、ションパイのを残しておいた。
この打の主目的はテンパイまでを絞り切ること。
中盤以降のションパイは鳴かれる割合が上がっていく。鳴かれて捌かれるのが、親の立場だと特に損になってしまう。