手負いの猿
文・ゆうせー【木曜担当ライター】2025年1月24日
第2試合
東家:猿川真寿(BEAST X)
南家:醍醐大(セガサミーフェニックス)
西家:渡辺太(赤坂ドリブンズ)
北家:仲林圭(U-NEXT Pirates)
利き手である右手の負傷により、
BEASTXのリーダー、猿川真寿は、
左手での戦いを余儀なくされていた。
「ロン」
「8000」
裏が乗らなければ、3900。
だが、現実は、8000。
東1局の親番で、現物待ちテンパイ。
猿川の放銃は仕方のないものである。
今にも飛び出しそうな、対面太のが恨めしい。
ただ、やむなしとはいえ、
危機的なチーム状況下にある今は、「仕方ない放銃」が、BEASTに熱を向ける者の心をえぐる。
猿川の試練は続く。
東4局2本場では、
対面太のリーチを受けて、この手格好に。
タンヤオのイーシャンテンだ。
だが、手牌全てが太の無筋。
押すのか、引くのか。
そして、攻めるにしても守るにしても、何を切っていくのか。カンする選択肢もあるのか。
苦しいときには、どうして難しい選択ばかりがやってくるのだろう。
猿川は、
打とした。
イーシャンテンを維持しつつ、テンパイしたとき、あるいは受けがさらに広がったときには、をカンしようという戦法だ。
「ロン」
「2600は3200」
が太につかまってしまった。
難しい選択ではある。
しかし、
イーシャンテンとはいえ、ソウズ二度受けが残っていて、7枚しかテンパイする牌がない状態だ。
ここから、を切るのはリスクの方が勝る印象である。
他に、が当たる際にブロックを構成するが自身から全く見えていない、というのもある。–のリャンメン待ち、カンチャン待ち、シャンポン待ち、いずれも色濃く残っている。
かと言って、ソウズ二度受け解消ルートの打は「イーシャンテンから両無筋を押す」ことになるので、これもまた危険だ。
危険、危険と言っていると何も押せなくなってしまうが、両無筋を切った場合は、さらに無筋のまで控えている。現状のイーシャンテンから、テンパイして「リターンを得られる状態」にたどり着くまでの道が険しすぎる。
受け入れ枚数の観点、そして周りの伸びも残せる(ソウズはを切っている)理由から「攻めるルート」では、打より打の方がいいように思う。
ただ、いずれにせよ、厳しいものは厳しい。前述の通り、イーシャンテンからリスクを負わないといけない。そして、好形テンパイ確定ならまだしも、そうではない、という面もある。
ここは、最も安全度の高い牌であるを切って、いったん迂回するのがいいように感じる。
一般的に、リーチ宣言牌の前に切れている数牌のマタギは、放銃率が下がる。
もちろん、百戦錬磨のMリーガー達が「先切りトラップ」を仕掛けている可能性はあるが、それでも周りが何も切れていない部分よりは遥かにマシだ。
ここは、太が5巡目にを切っていて、そのあととの手出しを挟んでいる。