佐々木寿人、混戦を裂く一閃【Mリーグ2025-26 レギュラーシーズン 観戦記 11/13 第1試合(麻雀LIVEチャンネル)】担当記者 喜多剛士

佐々木寿人

混戦を裂く一閃

文・喜多剛士【木曜担当ライター】2025年11月13日

この日の対戦カードは、首位・EX風林火山と2位・KONAMI麻雀格闘倶楽部による注目の首位攻防戦。風林火山は新加入・永井の活躍もあり、555.2ptで堂々の首位を快走。今回は監督・二階堂亜樹が自ら先発として登場する。

対する麻雀格闘倶楽部も324.8ptで2位と好調を維持しているが、チーム唯一のマイナスを背負う佐々木寿人にとっては、ここが奮起の場となる。

一方、かつて首位を走っていたU-NEXT Piratesは、14戦9ラスと苦戦が続き、▲157.0ptで7位まで後退。安定感が持ち味のチームだけに、ここまでの展開は意外。リーダー・小林剛が流れを変えられるか注目が集まる。

KADOKAWAサクラナイツ堀慎吾も▲43.7ptと調子が上がらず、第1試合に出場してトップを取り、連闘権を発動したいところだ。

第1試合

東家:佐々木寿人(KONAMI麻雀格闘俱楽部)
南家:二階堂亜樹EX風林火山
西家:小林剛U-NEXT Pirates
北家:堀慎吾KADOKAWAサクラナイツ

 

東2局1本場

東2局、親の亜樹が2000オールで30000点を超え、迎えた1本場、静かに牙を研いでいたのは寿人だった。

配牌は決して良くない。だが、赤2枚にドラ1。勝負手の香りが漂う。

一方、小林は絶好の【赤5ソウ】を引き入れてイーシャンテン。

6巡目、小林はペン【3マン】、あるいは【1マン】【2マン】の単騎でテンパイを迎える。しかし、萬子の下は場況が不透明。赤1枚を抱えてはいるものの、ドラの【8ピン】も姿を見せていない。愚形リーチはリスクが高いので【2マン】を切り、【1マン】単騎のダマに構える。索子の伸びや【3ピン】周りのくっつきといった変化を見据えた構想だ。

その直後、寿人が【5ピン】を引き入れ、456の三色が見える両面ターツが3つ。ドラの【8ピン】を切り、形を決める。勝負の構えが整った。

そして次巡、小林が狙い通り【6ソウ】を引き、【3ソウ】【6ソウ】【9ソウ】の三面張でリーチ。【8ソウ】は自分から3枚見えて【9ソウ】の場況も良好。待ちは山に6枚、勝利の扉は大きく開かれていた。

しかし、3面待ちがツモれない中、小林は【3ピン】を暗槓。

新ドラは【5ソウ】。打点は一気に2600から6400へと上昇。

寿人も引かない。赤2、ドラ1に加え、タンヤオピンフ・三色が見えるイーシャンテン。小林のカンによって【3ピン】【6ピン】がすべて見えたことで、【3ピン】【6ピン】から【4ピン】【7ピン】受けに構え直し、打【5ピン】。現物の【6ピン】を打つかと思われたが、【5ピン】はノーチャンスで、シャンポンか単騎にしか当たらないため、放銃リスクを最小限に抑えつつも、ピンフの形を残して攻めの姿勢は崩さない。

寿人が【7ソウ】を引き入れてテンパイ。【5マン】を切ればピンフ【3マン】【6マン】待ち、【4マン】を切れば【5マン】【8マン】【4ピン】【7ピン】の複合形となり、高目【7ピン】なら567の三色となる。

しかし【8マン】はフリテン。仮にフリテンでなかったとしても、安目のないピンフ形なら平均打点が安定し、出アガリで跳満の12000点が確定する。こうした打点を踏まえ、寿人は【3マン】【6マン】待ちを選択。

その選択が、アガリを呼び込んだ。

寿人が【6マン】をツモ。裏ドラが乗れば倍満だったが、今回は乗らず。それでも、リーチ・ツモ・ピンフタンヤオ・ドラ・赤2で3000-6000のアガリ。麻雀格闘倶楽部の勢いが、不調の寿人の背中を押したかのような一局だった。

このアガリで、寿人はラス目から一気にトップへと浮上。

一方、先制の三面張リーチを高打点でかわされた小林。U-NEXT Piratesの不調を象徴するような、苦しい展開となった。

 

東3局

親番は小林。前局では三面張リーチを交わされ、ラス目で迎えたこの局。4巡目、トイツの【白】が暗刻となり、ドラ2に加えて索子のホンイツまで見える勝負手に。どこからでも仕掛けられる構えだ。

浮き牌だった【7マン】【6ピン】が両面ターツに変化してイーシャンテン。【6ソウ】を放って678の三色も見える形に。

三色が消える【9マン】を引き入れたが打点は十分。リーチで出アガリで12000点が見込める。

解説の朝倉康心によれば、小林は3翻40符の両面リーチを好まない傾向があるという。これは麻将連合ルール(一発・裏ドラなし)において、ダマでツモなら3900オール、出アガリなら7700のところ、リーチをかけるとツモが4000オール、出アガリは12000になる。しかし、リーチによって出アガリ率が下がり、打点が変わらないツモアガリ率が上がるだけでは、メリットが薄いという理屈だ。

ただし、ここはMリーグ。一発・裏ドラ・赤牌ありのルールでは、リーチによる打点上昇の価値が大きく、当然ながらここはリーチとなる。

だが、無情にも最後の【8ピン】が堀に流れ、山から小林のアガリ牌は消えた。

しかし堀はカン【8ピン】を引き入れてテンパイ。選ばれたのは【5ピン】でリーチを宣言。

その牌が、小林への放銃となった。

リーチ・【白】・ドラ2で、12000点の加点。山からアガリ牌が消えたにもかかわらず、押し出されるように堀の手から放たれた一撃だった。

不調のU-NEXT Pirates、そして小林にとって、このアガリが復調へのきっかけとなるか。

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