銀メダルを塗り替える
──鈴木優の見えない芸術点──
文・小林正和【金曜担当ライター】2026年2月13日
連日の日本人メダルラッシュで沸くミラノ・コルティナ冬季五輪。
今日の第一試合でトップを獲得した選手を見て、ふと昔の映像を思い出した。
「記録よりも記憶に残る滑りをしたい。」
加点に直結しづらいはずだったあの「イナバウワー」をあえて構成に入れ、人々の記憶に今でも残っている。
勝負の世界で美しさの方を選び、金メダルという記録まで手にした荒川静香の姿だ。
そして、黒沢咲の心の声も、どこか重なる。
「記録よりも記憶に残る打ち方をしたい。」
数字を積み上げるだけじゃない。卓上に記憶を刻む一手を、どこかで選びにいく。
だからこそ、あの逆転劇は「結果」以上に「余韻」が残るのかもしれない。
迎えた第二試合目。
そこにあった勝ち方は、別の色だった。
華麗なフォームや美点の連続というより、汗で握り直すような局の重なり。
仕掛けて、前に出て、そして我慢する。点棒のために、時に手を汚しながらも突き進む。そんな泥臭さだった──。
第2試合
東家:本田朋広(TEAM RAIDEN / 雷電)
南家:二階堂亜樹(EX風林火山)
西家:鈴木優(U-NEXT Pirates)
北家:園田賢(赤坂ドリブンズ)
仕掛けの局で象徴的だったのが、まず東3局1本場の
昨日の連敗を帳消しにし、連勝を狙うTEAM雷電の本田だ。
わずか2巡目、この
をリャンメンでチー。
一見すると、アガリ形からは程遠い印象。だが狙いは明確で、ピンズの一気通貫を軸に、役牌バックも視野に入れた発進である。
しかもこの鳴きには、もう一つ意味があった。
先に
を仕掛けて、かわしの気配を見せている上家・園田に、少なからず打牌制限をかけること。
ちなみに、この園田のポンも面白い。
打点が約束されているわけでもないし、形もまだ心許ない。
ただ、メンゼン進行でも高くなりづらく、先手も取りにくい配牌。ならば、鳴いて局面を動かしていく。これが園田デフォルトだ。
しかも、このポンは上家の親・優に対しても、進行と打牌に少なからず制限をかけられる上、供託回収という副産物も小さくない収入源なのである。
お互いに圧を感じながらも、トライアングルの攻防へ。似たような動かした方で雪面を削りながら進んでいく。
そしてこの局、前に出たのは本田の方であった。
ピンズと
を引き入れ、狙いの一つでもあったホンイツへと自然に手牌が育つと
テンパイ![]()
待ち。
惜しくもアガリまでは届かなかったが、配牌から考えれば見違えるほどのマンガン加点チャレンジまで持っていったのである。
こうして一人テンパイで流局し、トップ目の優へじわりとプレッシャーをかけていくと、この試合は綺麗なメンゼン手よりも泥臭さを呈してきた。
流局が続いた南1局3本場供託3本
と
のトイツを抱えたまま、卓外には3,900点が転がっている。この状況下において、園田が黙っているはずがない。
音速の仕掛けで、局面を揺らしにいくと
こちらも指を咥えて見てるわけにはいかない。優も音速の仕掛け返しとばかりに、
をさらしていく。
すると、仕掛けが仕掛けを呼ぶ鳴き合戦へ。
優が立て続けに
に飛びつくと、それにより余った
に













