Mリーグ2018
ベストオブ【石橋伸洋】
21人のMリーガー名場面集
文・花崎圭司
Mリーグ2018も閉幕し、各チーム来シーズンに向けて策を練っているところだと思います。
シーズンを振り返ると、U-NEXTパイレーツはチームそのものの活動が活発でした。例えば自チームのHPを作り、試合結果も載せ、とても見やすいです。
なにより特筆すべきは、試合があったその日のうちに、その日の対戦を帰り道がてら振り返る「路上解説」をし、Twitterにアップしました。
またそこでは語りきれなかったことをきっちりとYouTubeで語る「おしえて!パイレーツ」とファンのための活動をされていました。
このようなことをきっちりすると
「麻雀は4人でやるものだから、1チーム4人の方がいいな」
とか、
「Mリーグが7チームと奇数だと残り試合数のばらつきが大きくなるので8チームとか偶数がいいな」
とか、チーム単体だけではなくMリーグ全体的の改善点も「なんとなく」ではなく「数字」として見ることができます。「数字」、まさに「デジタル」です!
さて。
話はMリーグ2018の開幕前、下馬評が一番高いのはパイレーツだったと思います。「デジタル」という言葉に象徴されるように(それ一言でまとめるのは乱暴だとは思いますが)、理路整然と、「運」ではなく「論」で戦う。いえ、さらにもう一歩、「運」があるところに自分を持って行く麻雀をする。
それを「確率」といったらそれまでなのですが、相手は「AI」ではなく「人」です。相手の「戦力分析」も戦術上、とても大切です。どのスポーツもやっていることです。パイレーツはその域で戦いをしようとしています。
3選手打った試合数も、小林剛選手が27試合、朝倉康心選手が28試合、石橋伸洋選手が25試合と、渋谷ABEMASの次にほぼ同じです。
では3人とも同じ“雀風”なのか?
Mリーグ2018を終えて「違う」と感じたのではないでしょうか。
「デジタル」といっても打ち方は1つではありません。
そもそもパイレーツの選手たちも「単純な確率」で戦っているわけではないはずです。
その中でも石橋伸洋選手は「アガる」ことに特化していると思います。
「アガる」ということはどういうことか?
それは他の選手を「アガらせない」ということです。
相手を「潰す」ためならなんでもする。
好きな人が自分の事を好きになってもらうにはどうするか?
「好きな人」が「好き」だと思っている人を、「好きな人」から遠ざける。
……なんだかヤバい話になってきましたが、それぐらいなんでもする、ということです。
石橋選手の平均打点はMリーガー21人中21位ですが、これは「バッシー麻雀」を体現する数字として“驚異”となるものだと思います。
また数字のマジックですが、「平均打点」より「平均放銃」が高いと負けがこむと思いがちですが、親にたくさんツモられれば、放銃は少ないけどジリ貧で負けてしまいます。
相手を叩いて叩いて叩きまくる。
「石橋を叩いて渡る」という言葉がありますが、石橋選手は本当にバシバシと叩きます。
「石橋“が”叩いて渡る」
のです。
その象徴的なシーンが出てくる
2018年11月23日第2戦
の戦いを振り返りたいと思います。
座順は
南家・石橋伸洋(U-NEXTパイレーツ)
北家・魚谷侑未(セガサミーフェニックス)
東3局 ドラ
まだ点数状況が平たい中の2巡目
ここであっさりとドラのを切ります。
この「序盤のドラ切り」は、石橋の特徴でもあります。
使えないと思ったドラは淡泊に切ります。
「を鳴いて単騎、赤を持っているので満貫いっちょあがり!」
――なんて“楽観的”な考えをしません。
が自分に重なる「期待」より、他家に鳴かれる前に切る。さらにドラを切ることで「なにかしているのでは」と他家に考えさせます。
この後、をポンし、
9巡目にテンパイ。
多井選手がリーチをかけてきますが、ここは勝負所と通っていない牌を押す。