打。
とにかく全員に、特に藤崎に危ないを処理したかった。
そう、ツモってきた牌は「あまり関係ない」はずの牌だった。
次巡
その「あまり関係ない」はずのが重なる。
とはいえ、シャンポン待ちからシャンポン待ちに変わっただけだ。
打でテンパイ取ってダマるか、打でマンズを横に伸ばして役あり(ピンフ)テンパイを目指すか、誰もがそう思ったときに、石橋の声が耳に飛び込んできた。
「リーチ」
さきほどとは違い、よりはの方がアガリが拾えそう。
さらにもう片方のも、連打で少し強くなった。
状況は、変わった。
そして、1戦目で瑞原がタンキのチートイツでリーチを打ったように、守っていては勝てない…!取るならより大きなトップを!という思いがあったのかもしれない。
その一発だった。
神に祈るくらいなら、この手で勝利を、そして自らの運命を自力で手繰り寄せるのみ!
いつもより力強くツモったに、全国のPirateファンの雄叫びが聞こえた気がした。
久しぶり。
本当に久しぶりとなる石橋の笑顔だ。
このインタビューの際にも
「レギュラーシーズン、あまり出番がなかったんですが、セミファイナル、ファイナルと勝ち続けて、出場し続けて、Pirateを優勝に導きます!」
と「出番」「出場し続けて」
というワードを繰り返した。
やはりこのままでは…という思いがどこかにあったのは間違いなさそうだ。
またアベマのコメントやツイッターを見ると
「ばっしいいいいい!俺は信じてたぜ!」
「こういうバッシーが見たかったんや!」
「ばっしーの、麻雀は、面白いんです!」
というような祝福コメントで溢れていた。
おまえらの手のひらの返しっぷり…!とも思わなくもないが、勝ち負けに関わらず、常に石橋に対してのコメントは多いような気がする。
解説者や実況にもいじられ、多くのファンから愛される石橋。
そんな石橋が見せた重ねからの6400。
そして天才復活と言えるオーラスの一発ツモ。
瑞原・石橋の連勝で、Piratesは負債を返済して
なんとプラス域まで浮上した。
ドリブンズとの死闘で受けた傷を返済し、あっというまにファイナル突破戦線の渦中に立ったと言える。
レギュラーシーズンは小林に頼りっきりだったが、こうやってやや不調だった瑞原や石橋、そして朝倉が復活し、全員が本領を発揮しだすと、本当に優勝が見えてきそうだ。
また優勝することで、死闘を繰り広げたドリブンズも報われるだろう。
あっという間に終わるセミファイナルから目が離せない。
麻雀ブロガー。フリー雀荘メンバー、麻雀プロを経て、ネット麻雀天鳳の人気プレーヤーに。著書に「ゼロ秒思考の麻雀」。現在「近代麻雀」で戦術特集記事を連載中。note「ZEROが麻雀人生をかけて取り組む定期マガジン」、YouTubeチャンネル「ZERO麻雀ch」