熱論!Mリーグ【Thu】
Mリーグいくさ物語
“魔王・佐々木寿人の
卓上大立ち回り”
文・東川亮【木曜担当ライター】2020年3月19日
Mリーグはレギュラーシーズンを終え、今週からいよいよ、「Mリーグ2019 朝日新聞セミファイナルシリーズ」がはじまりました。
2チームが減り、6チーム各16戦で争われるセミファイナルは、勝利の価値も、敗北の痛みもこれまでの倍になるという、一戦一戦が極めて重たい戦いでございます。
勝つも負けるもあっという間、そこで放たれる、はかなくもまばゆいばかりの輝きは、麻雀を愛する我々を大変に魅了してくれるもの。
今回は、3/19に行われた試合の第1回戦について、申し上げてまいりましょう。
第1回戦
西家:朝倉康心(U-NEXT Pirates)
全員がセミファイナル初出場となったこの試合、最初の一撃を決めるかどうかは、その後の戦いに臨む上での心持ちを非常に楽にしてくれることでしょう。
大事な東1局で手が入ったのは、ABEMASの若武者、松本。
タンヤオピンフドラドラ赤という大物手を、ヤミテンに構えます。
自身の目からが3枚ずつ見えており、待ちのはなるほどかなりの好感触。
「ヒットマン」といういささか物騒な異名さながら、獲物が飛び込むのを「じっ・・・」と、息を潜めて待ちます。
道中、ドラが増えてヤミテンでハネ満という恐ろしい手に。
餌食になったのは、サクラナイツの姫君、岡田でございました。
親でこのイーシャンテン、バラバラとソーズが切られている状況では、このはなかなか止まらない。
「12000」
松本の申告が、冷徹さと裏腹の熱を帯びているように聞こえたのは、気のせいでございましょうか。
手痛い一撃を被った岡田ですが、古来より「美しいバラにはトゲがある」と申します。
彼女もこの厳しいMリーグで猛者を相手に戦い抜いてきた打ち手。
東2局1本場。
岡田は4巡目でこの役なしテンパイを組むと、手変わりを待たずペン待ちリーチ。
ホンイツ、一気通貫などの手変わりは見えるものの、形は良くなく時間もかかる。
その間に押し返されては意味がならば真っすぐアガリに向かおう、という思い切りの良い決断と言えましょう。
ここはドラ3で勝負に出た朝倉のを打ち取り、多少ながら点数を回復。
次のチャンスを待ちます。
「おいおい、誰か忘れちゃあおらんかね」
そう言わんばかりにずいっと前に出てきたのがこの男、佐々木寿人。
東3局、東4局と連続でアガリを決め、あっという間にトップに立ちます。
寿人のよどみない選択は、なんとも見ていて小気味の良いもの。
見ている側も思わず引き込まれる心地よいリズムは、形が伴ったときにはより場を支配することにつながるのでございましょう。
寿人が自らのペースを作って迎えた南場、ここから戦いはさらに激化してまいります。
流局を挟んで迎えた南1局1本場は、麻雀というゲームが見せる妙味が存分に見られる展開に。
11巡目、寿人がテンパイして即リーチ。
を切っての待ちテンパイも取れましたが、彼は右端に寄せていたを切り、とのシャンポン待ちを選びました。
は4枚切られ、場に見えている分だけなら残り4枚。